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住宅ライターの家づくり奮闘記

12月29日に行った壁の漆喰塗りの様子。息子はすぐ飽きるかなと思いましたが、最後まで黙々と自分の仕事に集中していました。疲れてコテが重くなったらしく、ハケに持ち替えています。

こちらは左官職の小林さん。さすがに安定感のある姿勢ですね。かっこいいです。最後は私たちの塗った壁を上からもう一度コテを入れてキレイに整えてくれました。

2009年01月28日更新

セルフビルドを通してプロの実力を実感

 上棟後のわが家はちょっと見ないうちにどんどん完成に近づいていきました。増井さんや現場担当の池上さんが段取りよく工程を組んでくれたおかげです。筋交いや接合金物を取り付け、内壁や床下地を張り、屋根のガルバリウム鋼板を張ってしまうと、ずいぶんと家らしくなってきました。  現場で照明器具や電気配線の打ち合わせ、造り付けのダイニングテーブルの高さなどを検討していると、新居での生活が具体的にイメージされて、家族の気分も盛り上がってきます。現場に行けないときは池上さんから送信されるデジカメの写真を見て、進行状況を確認していました。  わが家は柱や階段、垂木などの骨組みに力を入れているので、構造が組み上がると、もうそれだけでかなりの部分が完成したようなもの。1階のLDKは床にパインの無垢板を張り、壁と天井はタナクリームという漆喰系の左官材で仕上げますが、2階やその他の居室は床も壁も天井もラワン合板のみ。内装仕上げがシンプルな分、工期も短くてすむわけです。  工事が終盤に差し掛かった12月23日には、5歳の息子を連れて現場へ。内装のラワン合板に柿渋を塗って、保護仕上げとする作業を行うためです。ますいいリビングカンパニーでは、こうした建主参加のセルフビルドを積極的に取り入れています。自分の家なのですから、人任せにせず、建主自身が手掛ける部分もあったほうがいい。増井さんのそうした考え方は、家づくりを依頼した理由のひとつでもありました。  柿渋とは、その名の通り、渋柿に含まれるタンニンを主成分とした自然塗料。日本では何世紀も前から使用されてきました。木・布・紙に塗布すれば防腐剤・防水剤として機能します。人工塗料に含まれるような有害な化学物質が少ないため、近年、再評価を受けている自然素材のひとつです。  ペンキのような粘りけが無く、水のようにサラサラしているので、素人がハケで塗ろうとすると、下にダラダラと垂れてしまいます。そこで布に浸して雑巾掛けの要領で塗ることになりました。私と息子だけでやるのはとうてい無理なので、増井さんと池上さんにも手伝ってもらいました。  まずはラワン合板の表面に付着したゴミや汚れを水拭きで除去。ひと通り拭いたあとに、布を替え、いよいよ柿渋塗りです。うかつに手をつくと、手の脂が染み込んでしまうので、慎重に慎重に。増井さんと池上さんはほかの家でもさんざん経験しているので、さすがに早く正確。脚立に載らなければならない高所作業はおふたりにお願いして、私は手の届く高さの壁を。息子もトイレの内部やクロゼット内を懸命に塗りました。  1時間もすると汗がにじみ出てきます。だんだんと息が切れ、妙な部分の筋肉が悲鳴を上げます。夕方に一段落したときには親子とも無口になっていました。  その翌週12月29日には左官の小林さん、金沢さんと一緒に1階の左官仕上げに挑戦。コテ台とコテを貸してもらい、息子もいっちょまえの職人顔で階段の下をペタペタと。柿渋と違い、こちらはコテの跡が表面に残ります。「でも、直そうとこねくり回すとかえって手に負えなくなるよ。多少のことは気にしないで気持ちよく塗ってください」と小林さんにアドバイスをもらい、壁の下地板の上にタナクリームをひたすら塗りつけていきます。ざらり(コテに左官材を乗せた音)、ぺっ(壁に塗りつけた音)、すい~(コテで伸ばす音)。  昼休みには私も息子も漆喰まみれ。近所のラーメン屋のおばちゃんも店に入った親子の姿にびっくりしたことでしょう。  悪戦苦闘する私たちを横目に小林さんと金沢さんは順調に壁・天井を仕上げていきます。私たちが木部にこぼした漆喰もさりげなく拭き取ってくれていました。  夕方に仕上がった室内を見回すと、その印象は施工前から一変。木の頼もしい架構を白壁が美しく引き立てていました。「これ、夜に照明当てたらまたイイんだろうなあ」。そんなワクワク感が湧き起こってきました。  現場で生きるプロフェッショナルの実力を目の当たりにし、「こんな人たちに手掛けてもらったんだ」という満足感も得ることができました。両日とも無駄な力を入れていたせいか、作業後、両腕は肩まで上がらなくなっていましたが…。  ここまでくればあとはもうすぐ。1月にはキッチンが設置され、ダイニングテーブルや木製サッシも造作されます。竣工検査は1月24日ということになりました。

住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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