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トロントひとかけら

オクトーバーフェストはこのテントの中

 
ソーセージ版オクトーバーフェストは堂々と

マーケット内部。秋の収穫

2012年10月24日更新

オクトーバーフェスト in キッチナー

トロントのダウンタウンから車で西におよそ1時間の町、キッチナー。この町がキッチナーと名付けられたのは第一次世界大戦の時で、それまではの名前はベルリン。今でも住民の多くはドイツ系で、地元のファーマーズマーケットにはソーセージやプレッツェルといったドイツらしい食物がずらりと並んでいる。その中に「キッチナー名物だよ」と時々おみやげでいただくソーセージがあるのだが、その名もずばりオクトーバーフェスト。オクトーバーフェストといえば、ご存知のとおりビールの醸造シーズンを祝うドイツ最大のお祭りだ。本場ミュンヘンで19世紀に始まったこの飲めや踊れやのお祭りが、毎年秋になるとキッチナーでも開催されるという。

さっそく週末を利用して行ってみると、マーケットは確かに混み合って活気いっぱい。秋の収穫らしいリンゴやじゃがいも、ハロウィンが近いのでかぼちゃも目立つ。そしてまわりにはちらほらとオクトーバーフェストの看板、もちろんソーセージのオクトーバーフェストもあちこちのスタンドで売られている。
だけどお祭りはどこに? とキョロキョロ探していたら、
「お祭りは囲いの中でやってるんだよ…」
と、キッチナー出身の友人が教えてくれた。

実はオンタリオ州の法律では屋外でアルコールを飲むことが禁止されており、お酒を持ち歩く時でさえも紙袋などに入れてラベルが見えないようにしないといけない。屋外でおおっぴらにビールを飲むなんて夢の夢、なのだ。
そこでキッチナーや周辺の町では、オクトーバーフェストを主催するジャーマン・クラブが外から見えないような場所を設置して、その中でお祭りをしているというわけ。うーん、ドイツのお祭りといえどここはやっぱりカナダのオンタリオなのだった。

ファーマーズマーケットは1830年頃、キリスト教の一派メノナイトの人達が食べきれない収穫物を売るようになったのが始まりだという。現代でも電気を使わず馬車で移動するメノナイト達はキッチナー周辺に多く住んでいて、独自のコスチュームを着ているのですぐにわかる。この辺りをドライブすると馬車の収納庫にも遭遇する。
それにしても、ここのファーマーズマーケットで買うものはどれも際立って新鮮だ。野菜や果物は生産者が直接販売に来ているので、バケツに山盛りで破格の値段…トマトやじゃがいもはともかく、ハラペーニョに至ってはどうすれば食べきれるのやら、と頭を悩ませる豪快な売り方をしている。さらに買って帰ってから、力強く濃厚な味にまた驚かされる。一食万銭というわけではないが、こんな食材を毎日食べられるキッチナーの人達は舌が肥えているに違いない、確実に。

トロント中心部から電車でも気軽に行けるキッチナー。
今年のオクトーバーフェストは終わってしまったが、たまには市街を離れて素朴な生活にふれてみたい、とかおいしい食物を手に入れたい、という時に足を伸ばしたくなる町だ。


ライター Kyuena キュエナ

Kyuena キュエナプロフィール
フランス→日本→カナダと移動生活中。
人種のモザイク都市・トロントでの楽しみは、
ベジタリアンインド料理とアールデコ建築探し。
仏語&医療翻訳と物書き業稼働してます。
現在、トロントの日系情報紙『bits』で連載中。

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