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[第13回]コトリンゴさん

 坂本龍一さんに見いだされ2006年に日本の音楽シーンに登場するや、独特の世界観と聴く人を包み込むようなファニーヴォイス、驚愕のピアノテクニックで人気アーティストの仲間入りを果たしたコトリンゴさん。神戸の音楽学校卒業後アメリカの名門、バークリー音楽院へ留学した時は、さまざまなアパートメントに住んでいたそう。ふんわりとやわらかい、コトリンゴさんのお住まい遍歴をうかがいました。

初めての一軒家、希望は「自分の部屋にピアノを置きたい」

――コトリンゴさんは3歳からピアノを習い始め、7歳で初めての作曲をされたそうですが、小さい頃から音楽の英才教育みたいたなものを受けたのですか?
コトリンゴ「いえいえ。普通の会社員の家庭で、中学生の途中までずっと社宅で暮らしていました。周りのお友達がピアノを習っているので”私も習いたい”って。作曲はヤマハの音楽教室がきっかけだったんですが、とにかく先生が怖くて(笑)、小さい時はちょっと苦痛に感じていました」

――それは意外ですね。生活の中で音楽とはどんなふうに関わっていたんでしょうか。
コトリンゴ「父がジャズの好きな世代で、よく家でレコードをかけていました。母はミュージカルとか、宝塚が大好き。私はピアノでクラシックを習っていて・・・いろんなジャンルの音楽が自然に耳に入る環境でした」

NYのアパートではバスルームの天井が崩れ落ちました

――音楽学校を卒業後、特別奨学金でバークリー音楽院に留学されて。どんなところに住んでいたんですか。
コトリンゴ「最初はバークリーの寮に入ったんですが、ちょっと食事が合わなくて。一緒に留学した友人と”ここを出てアパートを借りよう”と不動産屋さんに飛び込んで、5階建ての古いマンションを借りました」

――初めての自立した暮らしですね。
コトリンゴ「8畳位のベッドルームと、もう少し狭いベッドルーム、15畳位の広いリビングルーム、バスルームとキッチン、あと踊り場みたいな不思議なスペースがある、わりと広めの部屋でした。家賃が確か165 0ドルで最初は3人でシェアしていましたが、毎年のようにどんどん家賃が上がっていくので、最後はリビングに間仕切りをつくって4人でシェアしていました」

――アメリカではルームシェアはよくあることですが、リビングを個室にするというのはすごいですね。
コトリンゴ「みんな本当にオープンでしたね。同じ間取りのほかの部屋に遊びに行くと、ほとんど扉がなくて部屋全体をみんなで共有していました。日本人は割と、こぢんまり自分の場所を欲しがりますけど、文化の違いを感じます」

――日本と違って、住人が部屋を改造することも多いですよね。
コトリンゴ「私もこのアパートで、ルームメイトと壁のペンキ塗りをしました。日本では入居前に大家さんが部屋をリフォームしますが、アメリカでは入居者が自分で壁のペンキを塗って、その費用を大家さんに請求できるところもあるんですね。私は無難に薄いクリーム色を塗りましたが、楽しかったです」

――ボストンにあるバークリーを卒業してからは、ニューヨークへ移ったんですね。
コトリンゴ「最初は郊外のクイーンズ州で、ルームメイトと一緒に1年。その後、マンハッタンのアパートに3年間いました。家族が以前使っていたという部屋を初老のおばさんが貸し出していて、キッチンやバスルームは共用。家賃が安くてよかったんですが、おばさんが何かにつけて入居者達に干渉してきて(笑)」

――新しい家族が来たような感じなんでしょうか。
コトリンゴ「”最後に廊下を通った人は必ず電気をつける”とか”シャワーを使ったら、カーテンは必ずこの位置に戻す”とか、いろんな細かいルールがありました。共用キッチンでも、一人で場所をとっていると叱られたり(笑)。そういうのが苦手な人はすぐ出ていっちゃって(笑)。ホームパーティをしょっちゅう開いてくれて、みんなの距離が近いというか、アットホームな雰囲気のアパートでした」

――3年いたということは、コトリンゴさんには居心地がよかったんでしょうね。
コトリンゴ「でも、古い建物なので、水廻りのトラブルはしょっちゅうありました。『最近お風呂の天井がたわんでるな…』と思っていたら、留守の間に天井が崩れ落ちてたり、とか(笑)。ネズミもいました。日本に帰ってきた時、ここはなんてきれいな部屋なんだと思いました」

コトリンゴさん
小さな頃から小動物が好きなコトリンゴさん。今はセキセイインコの『マシュマロ』と同居中。「部屋では放し飼い。少し凶暴です(笑)」

コトリンゴさん
休みの日も自宅で曲作りをしていることが多い。「難産でウンウン唸っている時にポンと出てきた別の曲がすごくよかったりします。今度のアルバムでもきっとわかると思いますよ」

緑の多い、アメリカのおばあちゃんっぽい雰囲気の家が好き

――今はどのようなお住まいなんですか。
コトリンゴ「ピアノ可のワンルームのマンションです。落ち着いたトーンのインテリアにしようと思って、茶系と白系に差し色でピンクを入れるつもりだったのですが、今はちょっとカーテンやベッドカバーなど全体的にピンクに侵されつつあります(笑)。ベランダではゴーヤ、バジル、ワイルドストロベリー、カモミール、パセリなどを育てています」

――コトリンゴさんらしい、やわらかな雰囲気のお部屋ですね。将来的に自分の家を持つとしたら、どんな家が理想ですか。
コトリンゴ「キルトが飾ってあるような、アメリカのおばあちゃんっぽい雰囲気の家が好きですね」

――具体的に「いいな」と思った家や場所はありますか?
コトリンゴ「ライブの仕事であちこち行くのですが、地方には雰囲気のある場所がたくさんあります。富山にあるKAKIという家具工房は、自然に包まれた広い敷地に工房やオーナーの自宅などが点在していて、素敵だなと思いました。いつか家を持つとしたら、不便すぎないけれど、緑がいっぱいあるところ、周りに木がいっぱいある家でリラックスして曲作りをしてみたいですね」2009年9月2日掲載・2014年10月18日更新(公式サイトURL変更)

コトリンゴさん プロフィール
1978年生まれ。5歳よりピアノを始め、7歳で初めての作曲をする。バークリー音楽院に留学、ジャズ作・編曲/ピアノパフォーマンス科専攻。学位取得後NYに居を移して数々のジャズ・クラブのギグに参加する。06年坂本龍一のラジオで自作がオンエアされ、同年11月「こんにちは またあした」でデビュー。07年1s tアルバム「s ong s in the birdcage」、08年2ndアルバム「Sweet Nest」を発売し、数々のCMやTVテーマソングソングと共に高い評価を得る。09年9月16日には3rdアルバム「trick&tweet」をリリース。
オフィシャルサイト
http://kotringo.net
NEW ALBUM「trick&tweet」09.9.16 on sale
「trick&tweet」
Trick & Tweet tour
~コトリンゴのいたずらとさえずりライブ~
9/22(火・祝) 富山 フォルツァ総曲輪
9/23(水・祝) 長野 日和カフェ
10/12(月・祝) 下北沢 mona records
10/27(火) 大阪 cafe martha
10/28(水) 神戸 cafe FISH
10/29(木) 岡山 城下公会堂
10/31(土) 京都 SOLE CAFE
11/1(日) 高松 黒船屋 & more!!!
※詳しくはオフィシャルサイトへ
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