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 トホホな男性ばかり選んでしまう女性と、常人の想像を超越した男性達の行動を描いた「だめんず・うぉ~か~」で一躍有名になった後も、テレビのコメンテーターや講演などさまざまな場で活躍の幅を広げている倉田真由美さん。抱腹絶倒のコミックやエッセイを彷彿させる紆余曲折の住まい遍歴や、東京~福岡間を行き来する現在の暮らしぶりについてお話を伺いました。

キノコが生えた部屋に彼を呼べず、引越しを決意

――「だめんず・うぉ~か~」では、いろいろユニークなエピソードを持つ人々が登場しますが、倉田さん自身はどのような住まいの変遷をたどってきたのでしょうか。
倉田「実家は福岡なんですが、大学入学と同時に東京で一人暮らしを始めて、色々な部屋に住んできましたね。最初に住んだのは大学の近くのアパートです。おしゃれっぽいのじゃなくて、昔ながらのアパート。ワンルームで家賃は5万5000円でした。在学中はずっとそこに住んでいたのですが、卒業してすぐにマンガで賞金(ヤングマガジンギャグ大賞)80万円をもらって気が大きくなり、10万円のアパートに昇格(笑)。でもマンガだけではまだ食べていけなくて、1年でまた6万円のアパートに引越しました(笑)」
――最初からなかなか劇的な展開ですね(笑)。現在のように忙しくなる前はどんな暮らしぶりだったんですか。
倉田「その6万円の部屋は1階だったんですが、とにかく日当たりが悪くて。四方を建物に囲まれていて、目が覚めても昼だか夜だかわからない。湿気もすごくていつもジメジメしていて、ある日とうとう押入れでキノコが生えているのを発見して⋯」
――それで引越しを決意したと?
倉田「いえ、そのアパートには結局2~3年住み続けて(笑)。引っ越したきっかけは当時の彼でしたね。銀行員だったんですが”こんなにジメジメした、カビ臭い部屋に彼は呼べない⋯”って、小ギレイな部屋に脱出しました。商店街が充実している駅前のマンションの8階で、家賃は8万5000円」
――利便性が高そうですね。
倉田「ところが今度は駅が近すぎて(一同爆笑)。アナウンスは四六時中聞こえてウルサイし、窓からホームは丸見えだし。でも、そこではひとつ発見があったんです。人間って、規則的な騒音には慣れるんですよ。例えば、隣の部屋からうるさい笑い声が聞こえてくるのはダメでも、駅で発車の音楽が流れてくるのは住んでいるうちに全然気にならなくなりましたね」



数々の作品を生み出す「くらたま」の手。最近は歯切れの良いコメントでテレビやラジオへの出演も多い



ユーモアいっぱいの語り口に、時折母親の顔が滲む。「子どもに兄弟がいればよかったな、と時々考えますね」

だめんず・うぉーかー14
倉田真由美 著
 


抜群の記憶力と観察力で家の思い出を語る倉田さん。住まいに対しては基本的に気負わずニュートラルなスタンス

――そういえば、幹線道路沿いより線路沿いのほうが音が気にならないという話を聞いたことがあります。
倉田「私も最初失敗したと思いましたが、あっという間に慣れて驚きました。その後、結婚して別のマンションに引っ越したんですが、結婚生活が短かったのでその部屋はあんまり記憶にないです(笑)」

福岡の家は自然と人が集まる感じ

――現在のお住まいを聞かせていただけますか。
倉田「福岡の実家に両親と私、子どもの4人で住んでいます。それと東京に仕事や打ち合わせの時に使うマンションを借りていて、両方を行ったり来たりの生活をしています」
――ご実家はどのような家なんですか。
倉田「私が2歳位の時に建てた注文住宅で、築35、6年になります。父親が全部仕切ってプランを考えたんですけど、設計のプロじゃないから動線というものが全く考えられていなくて(笑)。お風呂に入る前、脱衣所で”トイレ行きたいな~”って思っても、キッチンを通って、廊下を通らないと行けないのが面倒でしたね。あと、当時男性は父一人しかいないのに、わざわざ男性用のトイレがあったり。きっと父なりのこだわりというか、思いがあったんだと思いますが」
――築35、6年とのことですが、リフォームや建て替えの話などは出ないんですか。
倉田「2年前に大規模なリフォームをした時、父の男性用トイレは撤去されて(笑)、和と洋2つのトイレに変わりました。それ以外にはキッチンや洗面を取り替えたり、当時はやったキラキラした素材が入った塗り壁の上にクロスを貼った位ですね」
――長く丁寧に住まわれている様子が伝わります。お子さんは小学校2年生の男の子ですよね。お子さんの部屋などは?
倉田「ありますけど、全然使っていません。みんなのいるリビングでほとんど過ごして、寝るときはおじいちゃんおばあちゃんと一緒だったり。実家は家のつくりがそうなのか、住んでいる人がそうなのか、昔から自然と人が集まりやすい家で、今も子どもの友達がしょっちゅう来ていますね。家で仕事している時とか、うるさいから外で遊べっていうんですけど、いつもみんなで家にいる(笑)」
――倉田さんはどんなお母さんなのですか。
倉田「どちらかというと甘い母親かも。けっこうべったりしていますね。食事も、子どもがいなかったら多分母に任せっぱなしだったと思うんですが、子どものことを考えると母の料理はどうも信用できないので(笑)、私が全部作っています。出汁からきちんととったり、苦手な野菜をどうしたら食べるか考えたり、割とちゃんと考えますね」

毎日の生活で小さなプラスを積み重ねられたら

――東京と福岡の二重生活ですが、環境はだいぶ違いますか。
倉田「実家は福岡市内ですが、東京でいうと練馬区みたいな少し郊外の住宅街という感じ。東京みたいにコンビニが目と鼻の先という訳ではないけど、それほど田舎でもないので住みやすく落ち着けますね。妹夫婦が近くに住んでいて子ども同士の交流があったり、人のつきあい方が密な感じです。東京はやはり仕事の場。ひとりでいるなら、あらゆる選択肢が揃っている東京の方が断然暮らしやすいですね」
――東京でこれぞ都市型ライフ!という部屋に住もうという気は。
倉田「私はおしゃれ系の街は苦手で、どちらかというと学生街が好きなんですね。治安がいいイメージがあるし、ひとりで入れるお店も多いし。今住んでいるマンションは、とにかく冬寒いし結露はひどいしで、いずれ引っ越すことになるかもしれませんが、多分これからも今みたいな街に住むと思いますね」
――お部屋のインテリアに凝ったりするようなことは。
倉田「東京の部屋は仕事用なので生活感がほとんどないんです。福岡の家にあるのも大学時代に買った洋服ダンスと安物の本棚で、凝っているとはいえませんね(笑)。安いものを買って後悔するけど、使い出すと簡単に捨てるわけにもいかず⋯ということの繰り返しです」
――すごい物持ちの良さですね。それだけ使うというのは、やはり愛着があるのでは?
倉田「いえいえ、単に捨てるきっかけを失っただけで⋯。でも、毎日の暮らしの中で気に入っている物が傍にあったり、いつも身に付けていられたりできるのはいいなと思いますね。
ひとつひとつは小さなプラスだけど、それを積み重ねていったら大きな違いになってくるというのはすごく共感します。いつかそうできたらいいな、と思います」

倉田真由美さん プロフィール
1971年、福岡生まれ、福岡育ち。マンガ家。一橋大学を卒業後、ヤングマガジンギャグ大賞受賞。
ダメ男を好きになる女たちを描く「だめんず・うぉ~か~」がブレイク、ドラマ化などもされ、「だめんず」も流行語に。28歳で結婚し、男の子が生まれ、その後離婚。現在は両親と息子が住む福岡と、東京を往復する生活。マンガ・エッセイなどの執筆活動のほかにテレビ・ラジオ出演、トークショーと多方面で活躍中。
公式ウェブサイト http://www.kuratama.net/

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