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マンション植栽 造園

2015年09月02日更新

腸内環境と土壌環境

前回、「『根っこ』が植物の健康をつくる」というテーマで、普段は目にしない、地下の部分についてお話をしました。今回も、地下の見えない部分である土の話をしていきたいと思います。

突然ですが、「良い土」と言われたら、どんな土を想像しますか?植物が健康にいきいきと育ち、病気や害虫にも負けない体に育つ土とは、具体的にどのような色や形をしているのでしょう?

「自然林」とか「天然林」と言われる林を訪れたことはありますか?その林では、虫食いだらけの葉や、病気で弱ってしまっている木をあまり見かけないのではないかと思います。自然の林では、落ち葉が腐葉土となり、土壌生物や微生物に分解され、豊かな土を形成していきます。そんな土で育っている植物は、バランスのとれた健康体をしています。そうです!「良い土」のお手本は自然の林の土にあるのです。

「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則さんが、何年もうまくいかなかったリンゴの無農薬栽培で、ついに窮地に追い込まれたとき、山で自生している一本のクルミの木を見て、「これだ!」と気づき、そこから、土に着目して成功したというエピソードも有名です。

ところで最近、「腸内フローラ」という言葉を耳にすることがあるかと思います。

「ヒトの腸管内では多種・多様な細菌が絶えず増殖を続けています。これらは腸内細菌と呼ばれ、個々の菌が集まって複雑な微生物生態系を構築しています。この微生物群集を「腸内フローラ」または「腸内細菌叢」と呼んでいます。〈中略〉腸内細菌の数はおよそ100兆個、その種類は一人あたり数百種にのぼり、その構成は食習慣や年齢などによって一人ひとり異なっています。
 この腸内フローラは、ヒトに対して様々な生理作用を有しています。有用な作用として、病原菌の定着阻害、免疫系の活性化、ビタミンの産生などが挙げられ、有害な作用として、腐敗産物や発がん物質の産生、各種腸疾患へ関与が挙げられます。」(ヤクルト中央研究所HPhttp://institute.yakult.co.jp/japanese/dictionary/word_5.phpより)

簡単に言うと、「腸の中で善玉菌が活躍していれば、病気になりにくく、悪玉菌が活躍して入れば、病気になりやすくなる」ということになりますね。

実は、土と植物に関しても同じことがいえます。一握りの土の中には数億個の細菌がいると言われていて、善玉菌は栄養分を根に速やかに吸収されやすくしたり、病気を防ぐ役割などを担ってくれています。逆に、根を腐らせる菌などの悪玉菌が増えてしまえば、病気になってしまい、植物はやがて枯死してしまいます。善玉菌が活躍しやすい状態にある土、それが、「自然の林の土」=「良い土」といえます。

でも、「すでに植栽が行われているマンションで、今さらそんな林から土を持ち込むことなんて出来ないよね?」と、思われますよね?

いいえ、大丈夫です!「土壌改良」という方法があります。自然の林の落ち葉が堆積したものに近い状態のものに、「腐葉土」とか「堆肥」といわれるものがあって、これは、ホームセンターなどでも売られていますね。それを、毎年土のなかにすき込むようにしていけば、やがて、土の中の有機質や微生物群が増え、ふかふかとした良好な土に変化していきます。土が良くなってくると、葉の繁り具合や色つやも良くなってくることを実感されることでしょう。

一般的に、マンションの新築時の植栽工事では、植栽部分には黒土などの良好な土を入れ、さらに、「堆肥」などを二割程度混ぜ込んでから植栽していきます。ですので、竣工当初は、有機質の多い良好な土だったはずです。しかし、その有機質はやがて分解され、肥料分となるものは植物に吸収されていきます。ですので、数年経過すると、有機質が少なく、カチカチの痩せた土になってしまうのです。そうなってしまうと、善玉菌が活躍できないというだけでなく、水はけが悪くなってしまったり、保肥力がなくなってしまったりと、様々な弊害が起こってきます。

ですので、定期的に「堆肥」などの有機質分を追加していってあげることは、とても大切な作業なのです。

マンションの植栽で、「最近、元気がなくなってきたな」と思われる木があったら、これまであまり意識していなかった土の部分にも着目してみてください。



この土の中にいる様々な生物たちも、植物の生育に一役買っているのです。




株式会社Q-GARDEN代表取締役
小島 理恵
株式会社Q-GARDEN代表取締役 小島 理恵

町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー 講師
横浜生まれ。信州大学農学部森林科学科卒。「ガーデンづくりを通じて、地域の景観・環境の向上に貢献する。」をポリシーに、その環境に合った植栽プラン、植栽内容に合った土づくりにこだわり、ガーデンの「デザイン」→「施工」→「年間管理」を行っている。植栽に関する知識や経験の豊富さなどから、ミュージアムなど大規模なガーデンの年間管理の依頼や、コンサルティングなどの依頼もある。2014年4月『はじめてでもカンタン! おいしいベランダ野菜』を出版。

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