2015年06月24日更新
中古マンション市況の調べ方
マンションを売却するときには、そのタイミングを考えることも欠かせません。中古マンション市場の動きが悪ければ、なかなか買い手が見つからなかったり、思ったよりも安い価格でしか売れなかったりします。そのため、自分なりに中古マンション市況を調べてみること、あるいは相場観を養っておくことも大切です。
■中古マンション市況を調べるためには
中古マンションの市況については、インターネット上にさまざまなデータが公開されていますから、これらをしっかりと活用するようにしましょう。国土交通省が提供する「不動産価格指数(住宅)」、一般財団法人日本不動産研究所が提供する「住宅価格指数」、全国の指定流通機構が提供する取引動向情報などが代表的なものです。
ただし、国土交通省の「不動産価格指数(住宅)」は全国・地方ブロック別・都市圏別の集計があるものの、都道府県別は東京都、愛知県、大阪府のみとなっています。また、日本不動産研究所の「住宅価格指数」は首都圏の4都県だけが対象です。そのため、それぞれの地域における中古マンションの市況を調べるためには、指定流通機構の成約データが役に立つでしょう。
東日本不動産流通機構、中部圏不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構、西日本不動産流通機構の4機構がそれぞれ個別に提供するデータのほか、それらを統合した「レインズ・マーケット・インフォメーション」のページがあります。対象データを指定するのがやや面倒なほか、個別の条件を判断しづらい面はありますが、エリアを絞り込んで中古マンション市況の傾向を探ることができます。
民間のサイトとしては、東京カンテイによる「70㎡換算価格推移」(不動産市況レポート)、アットホームによる「中古マンション価格動向」(ニュースリリース>市場動向)、さらに不動産流通大手による独自集計データなどがあります。ただし、いずれも対象範囲は限られていることが多いため、目的に合ったデータがあるかどうかは確認が必要です。
■自分なりの相場観も養っておきたい
さまざまなデータによって市況の動きが分かっても、それが必ずしも自分の売ろうとするマンションに当てはまるとはかぎりません。そのため、自分のマンション周辺地域の売買相場や取引の動向をピンポイントで把握しておくことも大切です。
比較的マンションの多い地域であれば、物件情報検索サイトで近隣の類似マンションがいくつも見つかるはずです。大型マンションであれば、同じ棟内の売り物件が複数存在することもあります。まずはこれらの価格を比べてみましょう。このとき売買価格(売出価格)の総額ではなく、1平方メートルあたり、または坪あたりの単価で比べることが重要です。平方メートルを坪に換算するとき、3.30578で割る(または0.3025を掛ける)ことになりますが、自分用のデータとするだけなら3.3で構いません。
また、比較対象とするマンションはなるべく規模や築年数、最寄り駅からの距離などの条件が似通ったものを選びます。ただし、たとえ同じマンション内でも階数や向きによって価格が異なるように、売買価格へ影響を及ぼす要因がいくつもあることを理解しておくことが必要です。
こうして得られたデータを数か月間にわたって追っていけば、自分なりに「その地域の相場観」が得られるほか、このマンションは売れた、あのマンションは売れていない、全体的に動きが鈍い、今はよく売れている、などといった市況の変化を感じることもできるでしょう。
イメージフォト:代官山エリアに立つ低層高級マンション
【マンション売却のコツ】
<第1回>マンションを売却する前に知っておきたい基礎知識
<第2回>売却における専任媒介と一般媒介の違いは何か
<第3回>マンションの査定を受けるときのポイント
<第4回>売却を依頼する仲介会社の選び方
<第5回>マンション売却にかかる費用と税金
<第6回>中古マンション市況の調べ方
<第7回>「情報の囲い込み」とは?
<第8回>「ホームインスペクター(住宅診断士)」とは?
- 不動産コンサルタント
平野雅之 リックスブレイン代表。東京都、神奈川県を中心に20年以上にわたって不動産売買の媒介業務に携わる。取引実務に精通する専門家として一般消費者向けの相談業務や現実に即した情報発信をしている。オールアバウト「不動産売却・査定」、「不動産売買の法律・制度」など幅広いテーマでガイドを務める。