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「建物だけ」ではもったいない!? 緑なしでは暮らせない!

無機質空間がアウトドアリビングに!「屋上庭園」で暮らしが劇的に変わる

 環境対策の一環として、よく耳にするようになった「屋上緑化」。ヒートアイランドを抑制し、冷暖房費低減で省エネルギー化を推進する有効な方法として、注目を集めています。特に都市部では自治体の条例化が進み、大規模な建物を新築する際は屋上や壁面の緑化を義務付けるケースが増えています。

 個人の住宅でも、壁にゴーヤなどツル性の植物を這わせる「緑のカーテン」はすっかりおなじみになりましたが、屋上緑化にはそれを上回る、生活の質そのものを劇的に変化させる潜在能力を持っています。首都圏を中心に、年間50~60件もの住宅の屋上緑化を手掛ける東邦レオのガーデンプランナー、大山雄也さんによると「まず、断熱性が高まったことで『クーラーを使わなくなった』とのお話はよくお聞きしますね。ただ、それだけでなく、せっかく屋上庭園をつくるのだから、新しい空間で自分らしい暮らし方を実現させようという方が本当に多いです」。

 同社がこれまでに設計施工した屋上庭園は、実にユニークでバラエティ豊か。無農薬の家庭菜園をつくり、隣接したバーベキューコーナーで調理。屋上にテントやハンモックを設置して空中キャンプ。アジアンリゾートのような家具とパラソルでシックなパーティ・・・単なる庭にとどまらず、アウトドアリビングとしての楽しみ方まで提案していることが特徴です。「一戸建てに限らず、マンションのルーフバルコニーも、同じように緑化することで楽しめる空間がぐんと増えます。照明も配置して、夜景などもぜひ楽しんでほしいですね」(大山さん)。

 屋上庭園は、限られた土地の有効活用という意味でも魅力的です。同社の場合、プランニングから施工、設置物まで含めて1㎡当たりの単価は約5~8万円が目安。地価が高い都市部で庭を持つことは大変ですが、屋上であれば50㎡の庭を約250~400万円で手に入れることができます。「最近は個人宅向けにも屋上緑化の助成金を用意している自治体が増えているので※(写真下の助成金情報サイト参照)、さらに負担が減ります。ぜひ確認してください」

 メリットの多い屋上庭園ですが、いくつか注意しなければならない点も。マンションの場合、ルーフバルコニーは「専用使用権を持つ共用部」なので、大規模修繕時や退去時には現状復帰することが原則。同社では必要に応じてすぐに取り除くことができる資材を使用したり、管理組合向けの資料を作成するなど、管理規約の範囲内で施工するノウハウを蓄積して対応しています。また、一戸建ての場合は加重制限の問題があります。軽量土壌とはいえ屋上に土や植物を配置するので、建物の構造計算書をもとに、強度をチェックしながらのプランニングが不可欠です。

 「デザインする側としては、いろいろ制約が厳しいほうがおもしろいものが生まれる」と笑う大山さんですが、これから新築一戸建てを建てる時もぜひ屋上緑化を検討してほしいと話します。「断熱性能が高まって住み心地が良くなり、プランの工夫で暮らしの幅が広がる。『3階建ての家に屋上庭園をつけたら、4フロア分の生活空間になった』というのが、都市部における屋上庭園最大の魅力ですから」


一面に敷き詰められた芝生の向こうに、大きく広がる青空。普通では見られない光景を楽しめるのも屋上庭園のおもしろさ
写真施工例:100㎡350万円(芝生・レンガ花壇・ベンチ含む)

取材協力:
東邦レオ株式会社「エコガーデン.jp」 http://www.ecogarden.jp/
※東京近郊の屋上緑化助成金
http://www.ecogarden.jp/knowledge/subsidy_list.html

旬を楽しみ味わうことで、自然への豊かな感性を育む


グリーン・ワイズでは、さまざまなワークショップやミニ講座、自然食材のマーケット、旬の食事会を定期的に実施。緑を楽しむライフスタイルをトータルに提案している。

取材協力:
株式会社グリーン・ワイズ http://www.greenwise.co.jp/
ベジキューブ http://www.greenwise.co.jp/product01.html

 緑の楽しみ方にはさまざまなアプローチ方法がありますが、「育てて食べる」というのもそのひとつ。最近は住宅街におしゃれな家庭菜園が登場するなど、見るだけでない自然との関わり方に関心を持つ人が増えているようです。

 「みどりと暮らす」をテーマに、花と緑を身近に感じる暮らしを提案しているグリーン・ワイズでも、野菜や果樹を主体にした菜園のプランニングや収穫体験のイベントを積極的に展開しています。「花と緑に関心を持つ第一歩として『たのしい』『おいしい』という体験をすることは、とても大切です」と話す、同社ベジライフ・プランナーの鈴木富樹子さん。眺めるための庭からさらに踏み込み、緑をライフスタイルに取り入れて楽しむ提案をと、約4年前から「野菜を通じたみどりの五感体験」プロジェクトをスタート。ショッピングセンター屋上で会員制の農園を運営したり、自社敷地内にある有機栽培の自家菜園「サニーファーム」で有機野菜を栽培し、自然食レストラン「アスタナガーデン」に提供したりと、さまざまな方法で「食べる緑」の楽しさを伝えています。

 「これまで家庭菜園というと『長靴はいて、いろいろ道具を用意して・・・』とのイメージが先行しがちでしたが、もっと気軽に都会的な菜園生活を送る提案をしたいですね。私たちの畑では、白いニンジンとか赤い大根などの希少種も含め年間約100品目の野菜を作っていますが、スーパーでは売っていないような珍しい野菜を育てたり、ちょっと人に自慢できる美しい色や形の野菜を組み合わて楽しむというのも、ひとつの方法です」(鈴木さん)。

 そんな思いから誕生した同社の「ベジキューブ」シリーズは、無垢の木製プランターに種、培養土、肥料などがセットになったスタイリッシュな有機無農薬野菜栽培キット。
「チャイニーズ」「イタリアン」「ハーブティ」「ベビーリーフ」などのセットは、通信販売で手軽に購入することができます。

 「庭のあるお家でしたら、ぜひ実のなる木も楽しんでみてください。比較的簡単に育てられるのは、最近人気のブルーベリーや、みかんや金柑などの柑橘系です」(鈴木さん)。
実のなる樹木を育てていると気づくのは、虫や鳥など、他の生物の存在。同じ実を分け合ったり、時には取られないよう知恵をこらしたり、四季折々の移り変わりと共に、よりダイナミックに自然を感じることができるといいます。

 旬の野菜を育てることで身近な自然に触れ、力強さや奥深さを体全体で味わう。それは、人と緑が長年にわたり培ってきた密接な関係性を再現し、新しい関わり方を発見することにつながります。いきなり「自然環境」といった大きな枠組みで考えるのではなく、自分にしっかりと帰ってくる形で、自然に対する感受性を高めてい・・・こうした考え方は、私たちが豊かな暮らしと環境共生を両立させるための、大きなヒントになりそうです。

■取材ノートより
環境との共生は、今や私たちの生活と切っても切れないテーマ。でも、とかくまじめな日本人、時として「頑張って達成しましょう」的な方向に向かいがち・・・。今回のレポートでは「楽しく、緑のある暮らしを考えて、トクしよう」を念頭に取材を進めました。お話をうかがった東邦レオさんとグリーン・ワイズさんが見せてくださった事例写真のカッコいいこと!目の前に非日常空間が広がる屋上庭園、そのままインテリアになってしまうプランターいっぱいの野菜たち。このワクワク感は、まさに緑なしでは暮らせない感じ。ぜひ両社のホームページでご確認ください。



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