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大規模マンションの管理修繕

2014年10月29日更新

膨大な共用施設と維持管理の現実

第2回:パークコート麻布十番 ザ タワー
パークコート麻布十番ザ タワーは、都心の暮らしに「自然の癒し」と心を豊かにする「アート」をテーマとし、上質な空間と時間を生み出す多くの共用施設が配備されています。

癒しを演出する室内植栽
分譲主 三井不動産レジデンシャルが、マンションの特徴としてチャレンジした大きな試みの一つは共用部の室内植栽です。2階共用部に「ヒーリングフォレスト(ライブラリー)」「アクティブフォレスト(ジム)」と称する、建物内の森があります。鉢植えでなく土に根ざした植物を配し、「アットアロマ」による3ヶ月に一度変わる香りの演出で都会の喧騒を忘れさせてくれる特別な空間です。 当初管理計画では、メンテナンスに年間200万円を費やすことになっていました。

しかし、2年経った時点で樹形や室内の雰囲気は入居時より悪化しだし、5年目の今年、再度見直しをかけることになりました。三井不動産レジデンシャルがチャレンジして作った森を、管理会社としてもメンテナンスで維持しなければ、良い空間は長続きしません。ということで、三井グループ協力の下、最新物件であるパークシティ大崎で起用された最も旬な植栽コンサルタント「そら植物園」西畠清順氏と「第一園芸」のコラボレーション体制で仕切り直し、立て直しを実施することになりました。

植栽で難しいのは、良い・悪いを判断するのが感性基準となる点と、生ものであり専門知識が必要な点です。理事のセンス・判断で全てが決まる体制に不安があったこともあり、プロのコンサルタント監修のもと維持管理するこの体制となりました。今年は、変化に期待して見守る1年になりそうです。

人気のゲストルーム「タワースウィート」
25階のゲストルーム(宿泊施設)は、世界的に有名な日本の高級バスタブブランドJAXSON社製のジェットバスにつかり東京タワー目の前に見る非日常を味わっていただけるスウィートルーム仕様。入居時から8割以上の稼働率で推移している人気施設です。この1部屋ホテルを、ホテルのプロ不在で運用するのがなんとも難しい。三井不動産レジデンシャルの企画で一流のインテリア、一流のアメニティを装備した状態で引き渡されましたが、残念ながらホテルで教育を受けた専属のスタッフまでは、セットされていませんでした。一部屋のためですので維持費を考えても妥当なのですが、引き渡し時より管理会社三井不動産レジデンシャルサービスのクリーンスタッフが試行錯誤し、運用してくれています。

実は、築3年の段階でジェットバスが故障していることが入居者ご指摘で発覚しました(泡の量の調整がきかなくなった)。いつから故障していたかも解らず、その期間に招いたゲストから「故障したゲストルームのある物件」と思われていたかもしれず、残念でなりません。これを機にジェットバスに関しては保守契約を巻くなど対策をとりましたが、そもそもホテル業を専業でやっている訳では無いため、壊れる前からリフォームやメンテナンスしケアする訳にもいかず、いかにして不具合をキャッチアップして直ぐに潰していくかが、継続した課題となっています。

さらに課題はこれからです。引き渡し時の仕様で、トルコの高級タオルブランドhamamのタオルやバスマットが使われています。クリーニングにより丁寧に洗濯されているものの寿命はあり、そろそろ入れ替えの時期です。この仕様を過剰と思うかどうかは人それぞれ。今後、買い替えのタイミングやコストなど、ホテル経営のような議論を理事会でしていくことになりそうです。ちなみに利用料金は、周辺相場よりややお得な1泊8,000円で設定されています。

ゲストに配慮した最新のセキュリティ
パークコート麻布十番ザ タワーでは、オートロックとエレベーターの着床制限で、居住階にしか進めない高いセキュリティに加え、来訪者のお迎えまで配慮した独特のシステムになっています。来訪者は、インターフォンで訪問先を呼び出すところまでは一般のマンションと同じですが、その先が変わっています。訪問先の方が解錠ボタンを押すとオートドアーが開くのでは無く、Felica製のゲストカードが、壁面から発行されます。このカードは時限キーになっており、エレベーターホール前やエレベーター籠内のセンサーにタッチすることで、居住者フロアへ行く経路の解錠が可能になります。お帰りの際、ゲストカードを回収機に入れることでオートドアーが開き外へ出られます。ゲストは、何度もインターフォンを呼ぶ必要もなくエレベーターの着床制限も完璧に満たしセキュリティ性が非常に高く便利なシステムとなっており、入居者には好評です。

しかし、このシステムは導入費用が高く、その後の分譲物件では採用見送りになり汎用化に至っておらず当マンションだけの特殊仕様となっているのが最大のネックです。ゲストカードの返却率が悪いと追加購入のカード購入費用がかさんだり、経年劣化に伴う故障時対策が必要であったり、設備維持にお金がかかることを痛感させられます。計画では、築10年目でのシステム入れ替えを想定し修繕計画を組んでおりますが、使い勝手の良いシステムだけに今のものを長く使い続けたいもの。導入メーカーであるNTTドコモ・シブタニが、汎用品として広めてくれることを切に願っております。

気を抜くと「入居当時は特徴的だった仕様がどんどん普通の仕様に置き換わって普通のマンションになって行く・・・幻滅」と、なりかねません。 分譲主のチャレンジを気に入って愛用している入居者の責務としても、当初コンセプトを保った質の高い空間の維持を心がけ、管理に気を使っていきたいと考えています。

「パークコート麻布十番 ザ タワー」管理組合 第5期理事長 渡邊 啓



パークコート麻布十番 ザ タワー内「タワースウィート」のジェットバス(左)、「ヒーリングフォレスト」


【パークコート麻布十番 ザ タワー】
第1回 都心プレミアム物件と地域コミュニティ
第2回 膨大な共用施設と維持管理の現実

<港区三田>
パークコート麻布十番 ザ タワー
パークコート麻布十番 ザ タワー

東京ミッドタウンや六本木ヒルズ。東京タワーと芝増上寺の杜に程近い、下町情緒と都心の洗練が味わえる「麻布十番」駅徒歩3分に位置する36階建てのタワーマンション。三田小山町再開発にて誕生。屋上ティアラデッキ、ゲスト用宿泊施設やパーティプレイス、ジムなど共用施設が充実。



 

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