2014年10月22日更新
都心プレミアム物件と地域コミュニティ
第1回:パークコート麻布十番 ザ タワー
都心部の立地に恵まれたマンションは、不動産的に「都心プレミアム」というカテゴリーでひとまとめにされますが、各マンションそれぞれ生い立ちがあり、独自性があるものです。
■「パークコート麻布十番 ザ タワー」の場合
「パークコート麻布十番 ザ タワー」の場合、3Aと言われる「赤坂・青山・麻布」に属すエリアにありながら、下町気質の残る古くからの住宅街「三田小山町」の再開発として生まれたマンション、いわゆる「地権者のいる再開発物件」です。
マンションは、全戸南向きで広めの間取りの低層「三田ガーデン棟」と、内装や共用施設の充実したホテルのような「タワー棟」で構成されており、総戸数507戸のうち「タワー棟」440戸のうち345戸が平均分譲坪単価480万円程で三井不動産レジデンシャル等により分譲され、2010年完成しました。
入居者は?と言うと、もともとお住まいの方は、ご想像のとおり比較的高齢者が多く、初詣の炊き出し・餅つき・おみこしなどの町会活動に熱心な人たち、対する新住人は、30~50代中心、個々のライフスタイルを重視する印象です。住民の二極化が起き生活するうえでも大変そうな印象をお持ちかもしれませんが、そういった嫌な壁があるわけでなく、うまく融合できていることに、実際お住まいになると気づくと思います。
というのも、再開発時に地権者の方がコンセプトにされていたのが、「未来へつなぐ街づくり」。新しい住人を受け入れることを前提としたコンセプトでした。この再開発はベロッパー主導でなく、住民主導で始まり、もともとお住まいの方が、今後の住まい方のコンセプトづくりから筋道を作っていったのが成功の秘訣だったのかもしれません。
■組合運営から始まった新旧住民のつながり
話を具体的に「管理組合」のことに進めますと、管理組合は建物の構造上、全体理事会と、タワー棟、ガーデン棟の各部会という多重構造で組織されており、理事メンバーは全体+いずれかの建物の部会に属し、月一回、全体理事会と各部会を続けて行っています。
理事メンバーのバランスは、タワー棟の戸数が多い分、新住民の議席数が多いのですが、参加率・発言率からすると半々。新旧住民入れ混じり積極的に意見交換が交わされています。
この理事間のつながりから、交流が始まり、現在では、ゴルフ・ヨガ・料理・子育てなどのライフスタイルの合う住民が集まりイベントを催す住民サークル活動が始まりました。新旧住民共通の話題として、もともとお住まいの方から「この地の歴史」のような昔話が聞けることもあり、分譲時のイメージPRだけでは知り得ないディープな話で、この地が更に好きになる・・・という好循環がうまれているように感じます。
■隣のマンションは良いライバル
この地域では同規模の再開発が連続して行われ、隣接する東側には住友不動産分譲の「シティタワー麻布十番」が1年早く完成しています。
物件の見た目の特徴が相反するもので、シティタワーは全面ガラス貼りの未来的な緊張感のあるデザイン。対するパークコートは、アースカラー基調の、バルコニーの広い慣れ親しんだタイプ。好みに応じて入居者が選択していると思われます。分譲時コンセプトも大きく違い、追いつけ追い越せという敵対心は無いのですが、必ず比較される物件なので意識せざるを得ないというのが実態です。
組合の取り組みとしては、コミュニティ育成のソフト面から着手することにしました。新旧住民の交流、防災対策、管理組合への関心拡大などの中心となる取り組みです。具体的には、管理組合主導のハロウィン等の季節イベントに加え、住民サークルによる毎月のイベント、三井不動産レジデンシャルの入居者向けの付加価値サービスLOOPイベントなど。直近では九州の農家さんを迎えた「オーガニックマルシェ」を住民サークルが企画し、中庭を使って開催。シティタワーの方もお招きしました。ソフト面を充実することで、入居者への日常の楽しみや、災害時の安心面において地域の中でより一歩進んだ体制を提供していきたいと考えています。
今期からはハード面にも着手。分譲時からシティタワーに比べ、共用設備は過剰なくらい充実しているのですが、一点、トランクルームが配備されておらず、シティタワーより見劣りしているという話題が常々出ていました。前期に実施した、住民アンケートでもトランクルームの要望は多かったこともあり、今期、施設内の空き空間を利用し、新設することを計画しています。ただ、追いつくだけでは工夫がないので、使い勝手を重視した駐車場利用者向けトランクルームなど実用的な施設も増強し差別化していきたいと考えています。
また、今期は、*LCP住宅としての建物性能アップの一環として非常用電源の稼働時間を倍増したり、物件の特徴である室内植栽に話題の植栽コンサルタント「そら植物園」西畠清順氏を起用するなど新たな取り組みも計画中。新規分譲物件に比べても、魅力の劣らない物件性能を維持できるよう努めております。(*「Life Continuity Performance」の略:居住継続性能)
次回は、充実した共用設備の紹介と維持管理についてお話します。
パークコート麻布十番 ザ タワー(画像左)
【パークコート麻布十番 ザ タワー】
第1回 都心プレミアム物件と地域コミュニティ
第2回 膨大な共用施設と維持管理の現実
- <港区三田>
パークコート麻布十番 ザ タワー 東京ミッドタウンや六本木ヒルズ。東京タワーと芝増上寺の杜に程近い、下町情緒と都心の洗練が味わえる「麻布十番」駅徒歩3分に位置する36階建てのタワーマンション。三田小山町再開発にて誕生。屋上ティアラデッキ、ゲスト用宿泊施設やパーティプレイス、ジムなど共用施設が充実。