2010年02月24日更新
壁面を飾る
壁面の使い方と聞いてまず思い浮かべることは、絵画を飾ったり、壁紙を工夫してみたりなど。今回は壁面を照明ひとつで快適な空間にする簡単なテクニックをご紹介します。
壁面の照明といえば、ブラケット照明になります。ホテルやレストラン、住宅では玄関や水まわりなどでよくみかけるブラケット照明は、殺風景になりがちな壁に装飾的にもアクセントを加え、機能的にも狭い玄関や階段を開放的にみせたり、絵画を有効的に照らす役割をします。絵画を照らすということでいえば、最近話題のLED光源は紫外線をほとんど発しないため、作品の劣化を防ぐ最適な光源といえます。
ブラケット照明には、天井方向・床方向それぞれを照らすものや、壁に向け照射し間接光を得るもの、器具自体が発光するものなど様々なタイプがあるため、目的に応じて選択することがポイントとなります。
天井方向に照らすものは、天井が高く感じられ、空間を広くみせることができます。間接光の効果は光源が直接目に入らないため、柔らかい光によって空間全体をリラックスした落ち着いた雰囲気づくりにすることができます。
床方向に照らすものは、ホテルのベッドサイドにあるような直接手元を照らすタイプや、絵画を照らすといった機能的なものといえます。この場合、調光スイッチを利用することにより、明るさの調節だけではなく、電球の寿命をのばしたり、電気代の節約にもつながっていきます。
デザインやシェードの材質も豊富なブラケット照明は小型なものが多く、価格も他の照明よりリーズナブルですが、設計段階から電源の供給やスイッチ・配線の設定をする必要があります。また、設置する場所のまわりに家具や建具などがないか、ある場合は扉があたらないか、電球交換のメンテナンスのしやすさなど注意すべきポイントがいくつかあります。
以上の点からも、ブラケット照明を検討する際には設計担当者と相談することをお忘れなく。
壁面を光の効果で演出するという点では、ブラケット照明だけでなく、前回ご紹介したジャスパー・モリソンの「LUXMASTER F」というフロアスタンドでも可能です。こちらの商品はヘッドの向きや高さを自在に変えることができるので、壁に照射して間接光として使用するのもおすすめです。
同様にFLOSより発売中のアキッレ・カスティリオーニ「PARENTESI」というペンダント照明は、天井から吊り下げられたワイヤーに差し込まれた電球を、360℃そして上下に自在に動かし、好きな位置を照らすことができます。よって壁面を照らし間接光として使用することができます。いずれの点からもペンダント照明のカテゴリにとらわれない自在な照明器具といえます。
住宅ではまだまだ有効的に使われていないブラケット照明ですが、壁面を有効に使うためにもおすすめしたい照明のひとつです。
(左)BUTTON(器具自体が発光するタイプ)
(右)FOGLIO(天井・床両方向に照らすタイプ)
(左)POCHETTE(天井方向に照らすタイプ)
(右)PARENTESI
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- 日本フロス 広報
井出美保 アキッレ・カスティリオーニやフィリップ・スタルクら著名なデザイナーと数々の名作照明を発表しているFLOS社の広報を担当。一般に多く知られる住宅向けの商品のほかに、商業施設や公共建築向けの商品も多く手掛けている。