1. 家の時間トップ
  2. TOP TOPICS
  3. ホーム&ライフスタイルトレンドレポート
  4. デザインコラボする住まい

>バックナンバー

ホーム&ライフスタイル トレンドレポート
[第6回]
デザインコラボする住まい
取材・文 田中やすみ

インテリアから発想する大胆な住まい方提案「生活を遊ぶ家」

 積水ハウスがライフスタイルショップのアクタスとコラボレートして生まれた「生活を遊ぶ家」。実はこの家には決まった形やスタイルがありません。現在全国に9ヶ所あるという展示場も『北欧スタイル』『アジアンリゾート』『現代の和』などテイストはさまざま。さらに『非日常的空間がある日常生活』『これからを楽しむ熟年夫婦の家』『家のどこにいても空が見える家』『和のオーベルジュ』と興味深いコンセプトが連なり、発想の豊かさと多種多様な提案が訪れる人の心をくすぐります。

 そもそもは「インテリア※から発想する家を」という企画から始まったプロジェクト。積水ハウスの鉄骨・木造両方の商品で展開できるコンセプト住宅として、1年半をかけて練り上げたキーワードが『生活を遊ぶ家』でした。プロジェクトに携わったアクタスのチーフアートディレクター、荒木さんは「1ヶ月もバカンスをとる欧米人に比べ圧倒的に自宅で過ごす時間が長い日本人は、インテリアを活かした質の高い空間で在宅時間を豊かにする工夫が必要」だと話します。マテリアル(素材)には本物を求め、例えば壁はビニールクロスではなく珪藻土の塗り壁、フローリングも質感が味わい深いウォールナットなどにすれば、建てた時からその質感を楽しめるだけでなく、年月が経つにつれ深まる風合いを味わうこともできます。

 素材に対するこだわりだけでなく、大胆な空間提案も『生活を遊ぶ家』の重要なテーマです。スタイリッシュな和室から一旦デッキを通って浴室に入るプランなどは、自宅にいながら高級旅館に来たような贅沢な気分に。ほかにも星空を望むジャグジーやレストランのようなダイニング、開放感溢れるベッドルームなど、ここまで自宅を楽しくできるのかと驚くような独創的な空間が、両社のコラボレートから生まれています。

 「展示場はあくまでもコンセプトモデル。実際は建てる方の潜在的なご要望を積水ハウスの設計者とアクタスのプランナーがじっくり引き出し、ひとつひとつオーダーメイドで設計します」(アクタス 荒木さん)。家で楽しく過ごしているシーンを考え、屋外空間の使い方まで含んだ総合的なデザイン提案『生活を遊ぶ家』は、今まで住み手本人すら気付かなかったような暮らす楽しさを発見する場になりそうです。

※ここで紹介するインテリアとは、単なる家具だけではなく、建物内部全体のデザインを意味します。

宇都宮展示場のコンセプトは「ボタニカル」。古材の梁、USEDの家具、ヨーロッパの古い床材などで新築なのに昔からあるようなぬくもりのある空間に


取材協力:
積水ハウス株式会社「生活を遊ぶ家」
http://www.sekisuihouse.com/products/c/asobu/
アクタス
http://www.actus-interior.com

“家の中に外がある”建築家コラボのロングセラー「エディズハウス」

ファサードはいたってシンプル。外からは閉ざされた印象だが、中に入るとパティオやテラスを通じて光や風、四季のうつろいを感じることができる


取材協力:
大和ハウス工業株式会社 「EDDI’s House」
http://www.eddishouse.com/

 ダイワハウスが建築家の鈴木エドワード氏と共同開発した住まい「EDDI’s House(エディズハウス)」を発表したのは、2002年秋のこと。ひとつの商品として建築家を前面に出した形でのコラボレートは、大手ハウスメーカーでは初めての試みであり、大きな話題となりました。「建築家がデザインした企画型住宅」「普通の会社員でも建てられる現実的な大きさ」「大手メーカーならではの安心感」というそれまでになかったスタイルは、『デザインの良い家に住みたいが、建築家は敷居が高い』と考える人々から広く支持を集め、現在では全国で約280棟もが建てられるロングセラーとなっています。

 ひとめでそれとわかるキューブ型が印象的なエディズハウスは、敢えて仕様やプランを限定して展開していることが大きな特徴。これには「デザインバランスが綿密に計算された建築家の家を、そのままの形で手に入れてほしい」という思いが込められています。「内と外のあいまいな空間(インターフェース)を通じて、自然の風や光を家の中でも感じることができる家」という鈴木エドワード氏の長年のテーマをカタチにし、さまざまなライフスタイルを想定した6タイプ全69プランものバリエーションとして仕上げられています。

 それぞれのプランには「インナーパティオのある家」「ビルトインガレージのある家」「都市型対応のミニマムな家」など名前こそ付けられているものの、形はどれも奇をてらうことのないシンプル&ベーシックなスタイルが基本。住み手が自分たちのライフスタイルや趣味に合わせ、自由に空間を作りこんでいける余白が十分に残されています。オーナーに住み始めてからの感想を聞くと、必ずでてくるというキーワードが「自然」「家族」「自分らしさ」。さまざまな場所で、住み手がそれぞれの感性でインターフェースを楽しんでいる様子が伺えます。

「建てる方は、最初から『エディズハウスがいい』と指名でお選びいただくケースがほとんどです。年齢や家族構成も本当に多彩で、自分の趣味やセンスを大切にし、暮らしにこだわりを持つ方が比較的多いです」(同社広報 天鷲さん)。現在同社の商品は外張り断熱の家「xevo(ジーヴォ)」のブランド名に統一されていますが、近くエディズハウスも同様のハードを採用していく予定。デザインコラボの先駆けは、今もなお独自の進化を遂げようとしています。

■取材ノートより
 デザインほど定義も、それに対する人々の感じ方も曖昧なものはないように思います。機能や性能のように数値で提示できない分、今回ご紹介したハウスメーカーからの提案も、独自の強みを活かした形にそれぞれ方向性を定めているように感じました。家の品質が向上しある程度のクオリティを確保できるとすれば、そこから先は自分の感性をどれだけプランニングに活かしてもらえるのかが、家づくりの重要なポイント。アクタスの荒木さんによると、自分にとってどんな空間が心地よいのかなんとなくでもイメージできるよう、普段からお気に入りのカフェのインテリアに注目するなど「いい空間」「いい時間」を味わうことも大切なようです。


【注目の最新記事】
住宅ローンのリスクに対する大いなる誤解
国の借金1000兆円超!日本経済は大丈夫なのか?
世界の政治経済を知らずに、不動産は買えない時代に?!

  • 建築家の自邸を訪ねて
    建築家の自邸を訪ねて

  • 地域と人とつながる住まい
    地域と人とつながる住まい

  • インタビュー 家について話そう
    インタビュー 家について話そう

  • ホーム&ライフスタイルトレンドレポート
    ホーム&ライフスタイルトレンドレポート

ページトップへ


TOP