20年連続、通算104点のグッドデザイン賞受賞歴を誇るミサワホーム。このGマークでおなじみのグッドデザイン賞は、3年程前から、近未来を見据えた提案がなされているかどうかが重要な評価基準とされているという。今年のSMART STYLE「ZERO」受賞について、「環境性能、シンプルデザインに加え、家族のつながりと将来を見据えた間取り提案が評価されたと思います」と商品開発本部 チーフデザイナー 白浜一志氏は語る。

　この商品では、住まいの中央に大きめの収納を設置。「ライフスタイルや室礼（しつらい）の変化を考えた時、収納は重要な要素だと考えています。将来、増えていく家族の物をすっきり収納できるよう、また、家族が集まるリビングで快適に過ごせるように、LDKにつながる場所に大容量の収納を設けました」（白浜氏）。人が集まるところは何かと物が多くなりがちに。子どものおもちゃもここに収納しておけば、子ども部屋にこもることなく自然とリビングに集まりそうだ。

　このほかにも、自然と家族が集まるシカケが至るところに施されている。一体感のあるLDKには「ピザソファ」と呼ばれる円形ソファを設置。円形にしておけば親子のふれあいも深まりそう。ピザをカットしたように分離できるので、好きな形に変えて家族が個々に居心地のよい空間をつくることもできる。

　LDKに隣接した土間は、冬は陽射しを蓄熱するメリットを持つ、外と内とのつながりが心地よいスペース。雨の日でも子どもたちは汚れを気にせずおもいっきり遊べるだろう。子どもが成長した後も、ご近所の方とのコミュニケーションスペースとして、夫婦の趣味の場として、多目的に活用できそうだ。

　このように家族が住まいの一か所に集まるシカケをしているのは、なるべく一か所でエネルギーを使い無駄をなくすためでもあるという。 建物そのものが発電効率にすぐれた「大屋根・急勾配デザイン」の太陽光発電、大きな窓から自然の光や風を採り込み高遮熱ペアガラスを採用するなど、環境性能にも優れた住まいとなっていることに加え、住まいを平面に見るのではなく立体として考え、容積を最適なボリュームにして省エネルギーに配慮している。これらにより、年間CO2排出量と排出削減量との収支ゼロを実現。第三者審査機関から業界初の第三者認証を取得した。

　さらに、太陽光発電モニターにより発電していることを分かりやすく表示したり、バルコニーから太陽光発電を直に触ることができたり、将来を担う子どもたちが環境に興味を持つシカケもされているのは興味深い。このような子どもの環境行動を啓発するシカケが認められ、第3回キッズデザイン賞も受賞している。

SMART STYLE「ZERO」断面図。吹き抜けや大開口サッシで、家全体に心地よい風が吹き抜ける。家族の声や気配を身近に感じられそうだ。

キッチンから大開口が心地よいリビング、タタミルーム、土間と、一体感のある空間。簡単に動かせる「ピザソファ」を大型収納にしまえば広々としたスペースに。

　今年グッドデザイン賞を受賞したのはもう１作品、「Season J」（年内発売予定）。日本の四季の住まい方をデザインしたこの商品は、季節に合わせて居心地のいい場所へ「夏の座」（北側）「冬の座」（南側）とリビングを使い分けるシーズンリビングを提案している。

　四季折々の日本の行事に合わせた生活の場を提案。南の窓には、夏は簾戸を設け心地よい風を採り込みながら陽射しを和らげ、冬は障子で室温を調整するなど、建具も変え四季を楽しめるデザインがなされている。

　これからの住宅デザインのあり方について、「目に見えるカタチは趣味嗜好でユーザーがデザインしていくもの。だからこそ私たちが提供する住まいのカタチはシンプルに、永く住み続けるために生活の仕方をどうデザインしていくか、どんなシカケをつくるかを追求していきたい」と白浜氏は言う。「衣食住の住をイノベーションするのは難しい」（白浜氏）という住宅業界。今後も、誰も予想しなかったような革新的なデザイン提案に期待したい。

ミサワホーム株式会社http://www.misawa.co.jp

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