2014年07月16日更新
浴室のスタイリッシュリフォーム提案
既存の浴室を撤去して、オーダーユニットバスを使ってリフォームする方法については以前の記事の通りですが、少し手を加えればまだ使えそうな浴室は、解体してしまうのは勿体ないものです。実は、浴槽をお化粧直しをして、壁パネルや天井を新しくすると同時に、シャワーや水栓金物類を一新して、照明をやり直すと、まるで新しい浴室に生まれ変わったかのように変身させることが可能なのです。
浴槽の再塗装技術は、以前に比べて相当進歩しています。浴槽塗装、或いはコーティングというキーワードで調べると、ほとんどの浴槽の材種に対応した塗装方法が見つかります。初めは眉唾だと思っていましたが、実際に幾度か塗装して貰うと、古びて黄ばんでいた浴槽が新品のようにきれいになるので、どのお客さまも大喜びしてくださいます。壁材については、在来浴室(コンクリートやブロック製の壁に直接タイルを張ったスタイル)であれば、特殊な下地材でタイル目地を平滑にした後、上張り用の薄手のタイルを張れば、こちらも真っさらな浴室空間にすることができます。ユニットバスの場合は、重量的にタイルの上張りはできませんが、パネル状になっている材料であれば張ることができます。天井については、ユニットバスでは交換不可なことが多いですが、在来工法であれば耐水性のあるボード類を塗装したものやパネルを張り直すことが可能です。壁と天井をやり直す際に、照明も一緒に考え直すと、明るくてスタイリッシュな浴室を実現することが可能になります。
上記に加えて、古びて錆掛かった水栓類やシャワー金物を交換(ユニットバスでは交換できないケースもあります)すれば、より浴室リフォームの完成度は高まります。技術的に一番難しいのは扉の交換です。ユニットバスであれば、同じメーカーの交換可能な代用品しか選択肢がありません。在来工法で、元の扉の巾が広ければ、新しくステンレスの枠を四周に回して、ガラスの扉にすることが可能です。費用的にはコストパーフォーマンスが高いとは言えない工事ですが、ホテルライクで高級感が欲しい人にとっては、ここまでリフォームすれば完璧になります。
変わった所では、全体的にきれいだけど、個性に乏しかった浴室では、特注のアートパネルを作って壁一面に貰い張って貰ったことがあります。また、洗い場が広すぎて、ガランとしたイメージの浴室に特注でサウナユニットを作ってはめ込んだ経験もあります。 一つ一つの工事は、それほど難しいものではありません。必要に応じて、それぞれの工事を取捨選択してゆけば、満足度が高くて、費用対効果も良い浴室へのリフォームが可能なハズです。ただ、街のリフォーム屋さんにとっては、既存の浴室を解体して新しいユニットバスを入れる方が、楽なようで、すぐに交換する提案をしてしまうようです。一つずつ見積りを取って説明をして行く面倒を考えると、クレームになる可能性も少ないUBへの交換を勧める気持ちは判りますが、プロならではの提案力とアイデアで、浴室をスタイリッシュにリフォームするスタイルを定着させたいものです。
かつての扉を外し、鏡面ステンレスの枠とテンパーガラスの扉を取付けて、
ホテルライクになった浴室
広すぎた浴室洗い場に、特注で作ったドライサウナユニットを作り込んだ。壁面の石は上張りして、やシャワー金物も同時にリフレッシュ
既存浴室のピンクタイルが嫌いとのことで、パネル張りと浴槽塗装で
リフォームしたユニットバスの事例
外国人仕様でトイレが横にある一体型の浴室は、浴槽再塗装と大理石調の
上張り用タイルと水洗器具・照明交換で見違えった
個性に乏しかったユニットバスに青いクラゲのアートパネルを張り、
天井にはレインシャワーと取り付けたリフォーム
- 建築家
各務 謙司 (カガミ ケンジ) 1966年東京都港区生まれ。早稲田大学大学院終了後、ハーバード大学大学院に入学。留学修了後、94年にニューヨークのCicognani Kalla設計事務所勤務。マンハッタンの高級マンションのリノベーション、郊外の別荘等を担当する。帰国後、生まれ育った白金台に設計事務所を開設。古くなった建物にリフォームで手を加え、住まい方にあわせカスタマイズし、生き返らせることを活動の一つの柱としている。
カガミ・デザインリフォームhttp://www.kagami-reform.com/