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建築家リフォーム

2014年06月19日更新

ホームオートメーションとスマートフォンとリフォームの相性

「ホームオートメーション」や「スマートホーム」、「インテリジェントハウス」といった言葉は、住宅におけるオートメーション化の名称です。戸建住宅であれば、屋根面での太陽光発電や、電動自動車の充電システムなどを含んだ大きなシステムになりますが、専有部分が限られたマンション内であれば、照明やテレビ・DVD、ステレオシステムやカーテンの開閉、照明をエアコンの調整などをネットワークを組んで、パソコンやスマートフォンなどを使ってコントローする、住環境を利便化する便利ツールです。
これまでは、ホームシアターなどの特殊機能に注目した新しモノ好きな人たちが、高額な価格にも関わらず、興味本位で導入していたシステムだった気が致します。それが最近では機能性も増して価格帯も落着いてきており、より実用的なツールに変わりつつあるようです。何より、スマートフォンやタブレット型コンピューターの普及が追い風になっているのです。画面のアイコンを本能的にタッチして、スライドや拡大縮小を指だけでコントロールできるスマホやタブレットと、このホームオートメーションシステムは相性がとても良いのです。

最近お手伝いしたマンションリフォームで初めて採用させてもらったところ、お施主さまからカッコ良いだけでなくとても便利で、友達にも勧めたいとのお褒めの言葉を頂きました。こちらのお宅では、テレビ・オーディオをメインとして、照明の調光システムと電動ブラインドの開閉をiPad一つだけでコントロールできるシステムを組んでいます。大好きなバスケットボールや野球の試合を80インチの大画面、5チャンネルの最高の音質で見ていると、まるでスタジアムのような興奮を味わえるとのことでした。タブレットだけがあれば、ほとんどの用事が済んでしまうので、出不精になることが一番の心配だとのことでした。

これまでは、とにかく機器が増えるごとにリモコンが増えて、ソファの横に黒いコントローラーが3つ4つ並んでしまう。いつもの手順でボタンを押していればテレビやブルーレイまでは辿りつけても、誰かが一度ボタンをいじってしまうと、もうどうすればいつもの画面に戻れるかすら判らなくなってしまう、一つリモコンが見つからなくなっただけで大騒ぎになったり、ソファにどっかり座ってCATVで映画を見ようと、飲み物まで用意したのに、外の街灯が気になって立ってカーテンを閉めに行く、そんな間の悪い経験は誰にでもあるのではないでしょうか?これに照明の調光システムやエアコンや電動カーテンのリモコンが重なれば、その複雑さは却って生活を不便にさせてしまう迷惑ツールなのではと錯覚してしまう程でした。

ホームオートメーションのシステムはそんな不便さを一気に解決してしまう、いわば究極の面倒くさがり屋向けの、痒いところに手が届く便利ツールなのです。ただ、このシステムにもまだまだ色々なデメリットもあるのは事実です。まず、費用がそれなりにしてしまう事は大きな問題です。沢山のリモコンを一つに、纏めるいう点だけをメリットとして考えた場合に、50万円以上の費用をコストパーフォーマンスが良いと思えるかどうかが一つのハードルです。また、色々と違ったメーカーの機器を組合せるシステムなので、初期不良(システムを組んだ最初の頃に起こる不具合)が多いことや、タブレット型コンピューターが無線LANやWi-fiを経由して信号を送るので、それらの繋がりが悪いとコントロールシステムとして不安になってしまうことも挙げられます。また、機器類を交換する度にプログラムを組み直してもらう不便さもあります。各機器と制御装置を有線で繋ぐ必要があるので、その設備工事も経験がある工事業者でないと不安があります。

ただ、そんな数々の不安な問題を超えて、リフォームとホームオートメーションの関係には明るい未来があると考えています。建物の構造や間取りに制限されず、電気の線だけを繋げれば実現できるという意味で、リフォームとの相性が抜群です。古いお城のようなお宅なのに、全てスマホ一つでコントロールされた状況を想像するだけで、ドキドキしませんか?単なるスイッチオンオフ機能を超えて、機器類や設備類を全て統合し、エコにも配慮した新しいライフスタイルを築き上げるコミュニケーションツールとして、住環境をより快適に、そして機能的に変えてゆくソフトなのだと思っています。



壁の裏に隠された制御機器とその配線は、当然ながら複雑で、
プロでしかプログラムを組むことができない




ホームオートメーションシステムを採用したマンションリフォームの事例。ソファーに寛ぎながら、
AV機器や照明、カーテンの開け閉めまで全てが手許でコントロールできる


タブレットにプログラムを組み込んで、タッチパネルだけでほぼすべての
リビングダイニングの機器・設備類を操作する


クレストロンという制御機器を中心に各設備機器をネットワーク化している


テレビとブルーレイ、アンプと5チャンネルのスピーカーをテストしている様子。使い方の組合せが多いので、初期設定が一番難しい




建築家
各務 謙司 (カガミ ケンジ)
建築家 各務 謙司

1966年東京都港区生まれ。早稲田大学大学院終了後、ハーバード大学大学院に入学。留学修了後、94年にニューヨークのCicognani Kalla設計事務所勤務。マンハッタンの高級マンションのリノベーション、郊外の別荘等を担当する。帰国後、生まれ育った白金台に設計事務所を開設。古くなった建物にリフォームで手を加え、住まい方にあわせカスタマイズし、生き返らせることを活動の一つの柱としている。
カガミ・デザインリフォームhttp://www.kagami-reform.com/

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