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私、沖縄に移住しました。

2013年08月07日更新

50歳、オンナひとり、沖縄に移住したわけ

 この4月に、大学入学から数えて30年、住み慣れた東京を引き払い、沖縄に移住したわけだが、突発的に沖縄移住を決めたわけでもなく、単なるあこがれで沖縄移住したわけでもない。今年で50歳になり、勢いだけで決意するほど、若くもない。

 そう、若くないというのが、ひとつのきっかけ。今を逃すと、もう移住はムリだと思った。よく定年後には田舎暮らしをしたいという話を聞くが、60歳を過ぎて、それほど体力が残っているのか、判断力が残っているのか、私にははなはだ疑問だった。

 大学までは実家で育ち生活をしてきた。東京の大学に行き、会社員生活を送り、人並みにパートナーとめぐり合い、生活を共にしてきた。それが今から10年前に、ひとつの転機が訪れた。

 体を壊し、会社も辞め、パートナーとも別れることに。でもそこには悲壮感はなく、「40歳にして、新たな人生の始まりだ!」ぐらいの、いわばステップアップのような気分だった。実際、すべてをリセットするのと同時に、生涯の住まいと決めた中古マンションを購入して、フルリノベーションしたのだ。「今が人生の折り返し、もうひとつの違う人生を、ここで過ごそう!」と思っていたのだ。

 フリーランスになると、自由になる時間が多いように思われるが、意外と自由ではない。それでもスキューバダイビングを趣味にする私は、なんとか時間をやりくりして、大好きな沖縄の海に頻繁に通うようになった。サラリーマンと同じように休めはしないが、逆にピークを外して旅行ができるようになったのは大きかった2泊3日のあわただしい沖縄ダイビング旅行ではなく、比較的長く滞在することができるようになったのだ。以前はホテルと海の往復だけだった沖縄を、少し違った目で見られるようになった。そう、少しだけ「沖縄の生活」を感じることができたのだ。

 これが、はまった。

 東京では常に時間に追われているし、いつも何かに引っ張られている気がして、なんとなく息苦しさを感じていた。それが沖縄に来ると、いるだけで、空気を吸うだけで、体がラクになる。梅雨時の100%に近い湿度も、夏の強烈な暑さも、私の体には合っていた。言葉もそう。聞こえてくる沖縄方言(うちなーぐち)が、私の頭にはすんなり入ってくる。町を歩けば、地元の人に間違えられる。定宿のスタッフには「お帰り~~」と迎え入れられ、空港からタクシーに乗れば「東京へは仕事だったの? おつかれさま~」と声をかけられる始末。

 もう、沖縄が私に「来なさい」と言っているかのようだった。大いなる勘違いだろうとも。 なんとなく「50歳までに沖縄に行こう」と思いはじめたのだった。

 実は移住に先立ち、4年ほど前に、これほど沖縄に来るのであれば、アパートを借りたほうがラクだと、物件探しを始めた。これにはいろいろあったわけだが、ひとつのご縁があって希望の場所にアパートを借りることができた。このアパートの大家さんとの出会いが、本格的に沖縄移住を決意することにもなった。

 それ以降、東京と沖縄を行ったり来たりで、月の半分は東京、半分は沖縄。そんな感じの生活。幸いフリーランスなので、ネット環境さえあれば仕事はどこでもできる。イメージは仕事場を沖縄に借りた、それだけのこと。沖縄滞在中は、仕事の合間に村中を散策し、村の雰囲気、店を見て回り、村民、子どもたちと言葉を交わす。そのすべてを私の体が喜んでいるのがわかった。無意識のうちに土地を探していた。「やっぱり、沖縄に住みたい。住むなら自分の家を建てたい」。自然と湧き出てきた感情だった。ここ読谷村に決めたのは、私にとっては必然のことに思える。

 そうこうしているうちに、灯台下暗し。アパートのそばに、希望に近い土地が売りにでていた。アパート探しでお世話になった不動産会社に連絡をし、売主さんとも話がつき、トントン拍子に話が進もうかという矢先、問題が発生。

 それは2年前のこと。両親が二人とも入院となり、介護のために実家に帰らなくてはならなくなったのだ。土地売買の話は凍結。売主さんにも直接事情を話した。「ほかに買い手が見つかれば、残念ですがあきらめます」と。介護の合間をみては沖縄には来ていたが、もう土地のこと、家を建てること、移住することはムリだとあきらめていた。東京・実家・沖縄を行ったり来たりの生活が1年続いたころ、ふと頭をよぎった。「私、何やってるんだろう」。

 東京でこのまま仕事をし、生活していくのか。実家に戻って親の介護を優先するのか。どちらも、なんだか息苦しい。体がうまく動かない、頭が働かない・・・・・。私、どうなるの? 「そうだ、あの土地、まだ売れていないかもしれない。連絡してみよう」

 「待ってたよ~~。売らずに待ってたのよ。伊藤さんに買ってもらいたくて」

 これが昨年の5月。そこからは、沖縄とは思えないスピードで物事が進み、土地の契約、設計事務所決定、銀行との交渉・・・・・・。すべてが順調で、今年3月に着工となった。「やっぱり、沖縄に早く来なさいと言われているんだ」。そんなふうに思ってしまうぐらいのスムーズさであった。

 沖縄の家の着工と同時に、東京のマンションは売却し、晴れて4月、荷物とともに沖縄へ・・・・・・。

 ■まずは、沖縄でのロングステイ体験をして、生活イメージを

 いずれは沖縄に住みたいとは思っていた。が、観光で来るのと生活するのでは大違い。私の場合は、約3年半は東京と行ったり来たりではあったが、アパートを借りたとなれば、そこには「生活」がある。ゴミ出しひとつとってもストレスになりかねない。実際に、沖縄移住の夢破れて沖縄を去る人は多い。気候、文化、食べ物、ご近所付き合い、仕事。いろいろ問題があるのだろう。沖縄を去るまでに至らなくても、移住者だけで集まり、地域とのコミュニケーションが疎遠になっている地域もあると聞く。沖縄に限らず、田舎暮らしやまったく土地鑑のない場所に、いきなり移住して成功するわけがない。その土地で本当に生活していけるのか、地域住民とうまくやっていけそうかなどを事前に経験しておくことは大事だと思う。

 アパートを借りるのはムリとしても、少なくともウイークリーマンションなどでロングステイしてみることだ。幸い、沖縄にはウイークリーマンションをはじめ、キッチン設備などが整ったコンドミニアムや長期滞在型の貸マンションが多く存在する。私も最初のころは、そんなところを定宿にしていた。1週間なり10日なり滞在するようになれば、スーパーで買い物をするし、地元の人が行くような飲食店で食事をするようにもなる。病院のお世話になることもあるだろう。

 できれば春夏秋冬を経験しておくこともおすすめする。別荘感覚であれば、オンシーズンだけの滞在という考え方もあるが、生活するとなれば、そうは言っていられない。真夏の青い空、青い海だけが沖縄ではないのだ。5月~6月の梅雨の湿気とカビはハンパない。まるで床に水を撒いたかのように常にジメジメしている。壁や家具は気を抜けばすぐにカビだらけだ。真夏は意外と東京より過ごしやすいと思う(私だけ?田舎だからか?)。日中はさすがに出歩くのを控えるが、夕方ともなれば海風が涼しく、夜はクーラーなしでも快適な睡眠が得られる。冬は案外寒い。東京の住宅のように断熱仕様にはなっていないので、底冷えを感じることもある。沖縄だからといって、冬も半袖・短パンではないのだ。そして秋は台風シーズン。3日停電しても大丈夫というぐらいの覚悟は必要だ。私も昨年の史上最大の台風に見舞われ、3日間懐中電灯で過ごした。

 地域とのコミュニケーションは、ロングステイしたからと言って、そうそう深まるものではないかもしれない。私の場合は、ダイビングを通じて知り合いが多くいたので、孤独感のようなものは一切なかったし、アパートを借りることで大家さんをはじめ、隣人との付き合いもあった。特別オープンな性格ではないが、やはり沖縄の人の懐の深さだろうか、一度顔なじみになれば、「いちゃりばちょーでー(一度会えば兄弟姉妹)」。親身に接してくれる温かさを感じる。今日も「畑でとれたから、食べなさい」とゴーヤーや島かぼちゃが届くのである。



『私、沖縄に移住しました。』が電子書籍になりました(2015年9月25日)。
「あれから2年。沖縄で過ごした春・夏・秋・冬」も書き下ろし。どうぞご覧ください。

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沖縄の夕暮れ



フリーライター(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
伊藤加奈子
フリーライター(2級ファイナンシャル・プランニング技能士) 伊藤加奈子

1963年生まれ。法政大学文学部日本文学科卒。リクルートにて不動産、住宅、マネー系の編集部を経て2003年に独立。以降、フリーランスでライフスタイル誌の創刊・編集に携わる。のち、マネー誌の編集アドバイザーを務め、現在は、主にWEBサイトで住宅、マネー関係の記事を執筆するかたわら、25年の編集者経験を生かし人材育成に努める。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。All About マネーガイド

2013年4月に住み慣れた東京を離れ、沖縄に移住。と同時に、RC住宅を建築することを決め、2013年3月着工。11月に竣工した。









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