2016年04月02日更新
結露しない家
冬の朝など、家の窓が結露してしまうことがあるが、
結露はあっても仕方がないと思っていないだろうか?
実はこの結露、家と住む人の健康を損なう
原因にさえなり得るものなのだ。
結露の原因の一つは、家の断熱性の低さにある。
外気温と室内温度の差が大きい時、断熱が不十分な壁、
単層の窓ガラスなどに結露が生じる。
それを濡れたまま放置しておくとやがてカビが生え、
カビを餌にするダニと共に室内空気中に舞い、
アレルギーを引き起こすもと、アレルゲンになってしまう。
また、壁内に結露が起こると拭き取ることもできないため、
やがて断熱材や壁内がカビたり、腐ったりし、
家の寿命を縮めてしまうもとになりかねない。
だから家を建てる際、選ぶ、リフォームする時は、
「結露が起こらない家」にすることをおすすめしたい。
過日、断熱性と気密性を徹底して高め、結露が起きないのはもちろん、
家の中の温度と湿度を一年中、快適な値にコントロールできる
住宅を提供する工務店を取材した。
千葉県で創業、今年で30年目を迎えるトーワホームだ
http://www.towahome-net.com/
社長の渡辺和司さんは研究熱心で、
ハウスメーカーと同等以上の性能の家を、
もっと安く提供できるはずだと、工法や素材、
設備機器を選定、開発してきた。
そしてなるべく自然のエネルギーと自然素材を使いながら
高断熱、高気密で、家の中のどこでもが快適な温度、
湿度になる住宅をつくり上げたのだ。
トーワホームが建てた住宅を何軒か取材させてもらったが、
住まい手の方が口々に、「結露も、お風呂場のカビもなくなった」
「冬の朝、暖房していなくても寒くない」「梅雨も夏も室内の湿度が低い」と、
それまでの家との住み心地の違いについて話してくれた。
折しも、日本ではヒートショックで死亡する人が
年間およそ1万7千人もいるという事実が話題になったが、
冬に家の北側や廊下、浴室が寒いのは当たり前と
我慢してきた長年の習慣が、これまで性能の低い家が
まかり通ってきてしまった原因の一つではないだろうか。
これから家選びやリフォームをする際は、
家の中に温度差が極力できないということにも留意していただきたい。
断熱性を適正なまでに高めるだけでも、冬の寒さ、夏の暑さが
極端にひどくならない家にすることが可能だ。
そのうえで、真冬、真夏のみ必要に応じて冷暖房すれば、
省エネで、光熱費の削減にもつながる。
熱は主に窓から出入りするので、
窓の内側にもう1枚窓を取り付ける、いわゆる内窓リフォームを
するだけでも断熱性を高められ、結露を防げる。
また、北側の結露しやすい部屋の壁や天井を和紙クロス貼りや
漆喰塗り、無垢板張りにするのも結露対策になる。
もしもお宅に結露があったら、そうした部分的対策から
検討してみてはいかがだろうか。
トーワホームの建てた住宅例。外張り断熱と内断熱のW断熱3重通気工法で、冬は壁や床がほんのり暖かい、輻射式冷暖房で快適だ。
- リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗 1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。