2014年04月23日更新
10年後「1人世帯が最多」の衝撃
4月12日の新聞だったと思うが、
前日の厚生労働省の発表を読んで驚いた。
2025年の日本は、1人世帯が最多になるという。
これはかなり、衝撃的な推計ではないだろうか。
厳密に言えば1人世帯=1人暮らしとは限らない
(同居していても世帯を別にしている人もいる)が、
1人世帯が最もポピュラーになるとすれば、
家族って、家庭って何だろうと、考えてしまった。
世帯数も2020年の5305万世帯をピークに、
減少に転じるという。
1960年までの日本は6人以上の世帯が最も多かったが、
70年代から80年代にかけては4人世帯がそれを抜き、
90年以降は1人および2人世帯が主流となる。
この50年の間に、6人暮らしが1人になってしまったのだから、
独居老人が増えるのも当たり前だ。
よく知られているように、高齢世帯の割合も増える。
2010年の国勢調査では、世帯主が65歳以上の
高齢世帯の割合は31.2%だが、35年には40.8%と
4割を超えるという。
2010年時点では、高齢世帯が40%を超えているのは
秋田県だけだが、35年には41道府県と急増する。
20年後に、日本のほぼ2軒に1軒は世帯主が高齢者となるのだ。
そして、高齢世帯に占める1人世帯の割合は、
10年の30.7%が、35年には37.7%になるという。
1人暮らしの人が主流になり、
しかも独居のお年寄りが増えるとは、
想像すると切ない未来であり、
何より社会的な大問題だといえるだろう。
そう考えると、「遠くの親戚より近くの他人」とは
よく言ったもので、法律的な家族や血縁でなくとも
気の合った者同士や地域の人たちなどで一緒に住む
シェアハウスのようなスタイルの住まいが
増えていくのは理に叶っていると思う。
もしかすると早くも10年後には、4人家族で暮らす人に
「まあ、ずいぶんな大家族で暮らしていますね。
最近では珍しいですね」
なんて声をかけることになるのかもしれない。
今、3世代6人などで暮らしている大家族の人に
そう声をかけるように。
- リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗 1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。