前回に続き、「サービス付き高齢者向け住宅」について、
具体的に書いてみよう。

　国交省と厚労省の共同所管で登録が始まった
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせる
基準を設けた事業者だけが、認定されることになっている。

登録の基準は、ハード面では、
床面積が原則25㎡以上（１人用）でバリアフリー。
サービス面では、日中はヘルパー２級以上の
資格を持った職員が常駐し、少なくとも安否確認、
生活相談サービスを提供することが定められている。

また契約内容に関しては、敷金、家賃、
サービス対価以外の金銭を徴収しないことが原則。
長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないなど、
居住の安定が図られた契約であることが基準とされている。

さらに、家賃を前払い金として徴収することは可能だが、
初期償却を制限するなど、入居者保護が図られている。
つまり、有料老人ホームのトラブルの種となっている、
根拠のない高額な入居一時金が短期間で２、３割も初期償却され、
退去時に返還されないなどということは許されない。

　では具体的には、どんな住まいなのだろう。
実際の住宅と住んでいる方を訪ねてみた。

　訪問したのは、全国で有料老人ホームなどを展開する
メッセージが運営するCアミーユ王子神谷。
全93室、67名の入居者全員が単身、うち自立の方が３割、
要支援が２割、要介護１から５までの方が５割という。

　施設と違って介護は費用に含まれていないため、
必要に応じて個別に介護保険を使い、ケアプランを立て、
訪問介護を利用する。

要介護３から５の方が20名ほど暮らすが、どの方も訪問介護等の
介助を受け、自室のお風呂で入浴できているという。

　入居者の一人、川口さん（81歳）の部屋を訪ねてみた。
　フロアはバリアフリーで、ミニキッチン、浴室と洗面、
トイレ、そして居室にベランダというレイアウト。
ベッド脇、トイレ、浴室の計３ヵ所に、
緊急通報ボタンが備えられている。

川口さんは脚が少々悪く、要支援２。
これまでは中野区で一人暮らしだったが、
買い物や自炊に不便を感じていたところ、
甥御さんのすすめにより、この住宅に入居した。
「ここは３度の食事がレストランで食べられて、
他の方とお話したりもできる点がいいですね」と川口さん。

　月額の費用は、家賃と食費含め約20万円。
自炊も自由で、その場合食費はかからない。
　Cアミーユは敷金を徴収していないが、
事業者によって入居時や月額の費用、内訳、
サービスには違いがある。

実際に住む場合には、当然のことながら、
事業者を事前リサーチ、比較検討してからの入居をおすすめしたい。

サービス付き高齢者向け住宅の一つ、Cアミーユ王子神谷のモデルルーム。サービス付き高齢者向け住宅はバリアフリーでキッチン、水洗トイレ、浴室、洗面、収納を備えることが必要。

同浴室。

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