2016年03月12日更新
進化したマンションの空間 「ザ・パークハウス東戸塚レジデンス」
「ザ・パークハウス東戸塚レジデンス」はJR横須賀線、湘南新宿ライン「東戸塚」駅から徒歩5分。地上11階建て、全237戸の分譲マンションです。平成27年10月から公式サイトを公開、平成28年3月初旬の時点で約1500件の反響が寄せられているようです。
東戸塚駅周辺は「ニューシティ東戸塚」シリーズをはじめとする分譲マンションが昭和の頃から数多く供給されてきました。センターインのPP(プライベートパブリック)分離や100平米を超える住戸設計など、永住型ファミリーマンションを中心とした大規模集合住宅の集積は、一戸建て住宅街が多い同県同沿線上には他に類を見ないばかりでなく、落ち着いた街並みの形成に少なからず貢献したきたといっても過言ではないでしょう。
しかしながら、平成6年以後十数年にわたって展開されてきた首都圏における分譲マンションの過剰供給は、商品に競争原理がはたらき、専有共用を問わず「費用対効果の向上」といった成果をもたらしました。今回は「ザ・パークハウス東戸塚レジデンス」を例に、以下おもに専有部に絞って進化の具体を列挙していきます。
まず、専有部の「替えられない」部分では構造と開口部に注目します。具体的には「柱・梁の出っ張りが抑制されたすっきりした住空間」と「窓の機能・性能の向上」です。柱や梁の少ない空間は圧迫感が低減されるばかりでなく、家具などのレイアウトが容易になるため限られた面積を効率的に活用することが可能です。窓は複層ガラスを採用していることから断熱効果が上がり、快適性、省エネ性の向上につながります。断熱材の入った鉄筋コンクリート造の建物は、そもそも断熱性が相対的に高いのですが、窓の性能も高めることにより、結露もなくなり、窓周りのコーディネートも一年中簡素で良いという利点を生みます。
「ザ・パークハウス東戸塚レジデンス」では一部センターオープンのサッシュを採用しています(下の画像参照)。凹凸の少ないすっきりとした天井と開放的な開口部は、空間の伸びやかさを高める相乗効果をもたらすでしょう。
次に、そのほとんどがリフォームで対応することができるのですが、「新築ならではの充実した設備」をみます。大量供給時代にはたらいた「規模の経済」は、キッチンの「ディスポーザー(生ごみ処理機器)」「食器洗い乾燥機」「天然石仕上げのカウンタートップ」、浴室洗面室では「ミストサウナ」「フルオートバス」「魔法びん浴槽」「ボウル一体型洗面化粧台」など普及価格帯においてさえこれだけの「機能的設備の標準装備」を可能にしました。ただ便利なだけではありません。例えば、自宅内で生ごみが処理できればマンション内のゴミ置き場の臭いも抑えられるといった副次的恩恵も享受でき、住んでみると意外と大きい利点が多々あることに気づくことでしょう。収納は歴史の長い課題。水回りでは、キッチンの吊戸棚、野菜ストッカー、スパイスラック、食品庫、洗面室の三面鏡裏収納、ヘルスメータースペース、居室では布団収納など事業者のマーケティングの成果が色濃く表れている箇所となります。設備は、機能の向上、インテリア性の向上、収納の充実、お手入れがラクなどが共通したキーワードです。
販売促進面の工夫も、じつは購入者利益に直結しています。代表的なものがインテリア・設備の「オプション(有償)」です。工事中に契約を済ます青田売りから生じる「入居までの時間差」をカスタマイズの充実にあてているのです。同物件では玄関部の「エコカラット」や「ミラー」、洋室の「カーペット」「ダウンライト」「ピクチャーレール」、キッチンでは「高速オーブン」「カウンター側面天然石仕上げ」といったアイテムを用意しています。一度住むと付け足す・替えるといったことが大掛かりになるメニューもあります。新築竣工時に選択したビルトインが済んでいる状態は満足度と経済効率性をともに高めることでしょう。
共用部では空地部分の「植栽計画」や「メインエントランス」の設え、「外観デザイン」の意匠性、「共用施設」の豊富さなどが最近のマンションの特長です。これは、「共用部のグレード感が資産価値につながりやすい」といった市場の経験からきています。また、法整備の側面では「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称「品確法」)」(平成12年施行)や「瑕疵担保履行法」(平成20年施行)などが代表的なものです。品確法では「住宅性能表示制度」「10年間の瑕疵担保責任」「紛争処理の簡素化」がそのおもな中身です。
「ザ・パークハウス東戸塚レジデンス」モデルルーム<資料提供:三菱地所レジデンス>
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)