2013年10月09日更新
湾岸タワーマンションを選ぶときの注意点
2020年東京五輪開催が決定し、湾岸エリアのタワーマンションが注目を集めています。アジアヘッドクオーター特区エリアにも指定されている臨海地区では、今後も多くのマンションプロジェクトが控えており、しばらくの間は話題に事欠かない状況が続きそうです。
湾岸エリアでマイホームを購入する理由はなんといっても価格でしょう。都心に近い割に、手の届きやすい相場であること。同じ距離を西に向かえば、倍近い金額に跳ね上がることを思えば、便利でリーズナブルなエリアだと判断できるわけです。インフラ整備にも拍車がかかり、エリアの魅力はますます上がりと期待されています。
さて、分譲マンションは何かと立地がクローズアップされますが、どんな建物を選ぶかで、その後の住み心地が大きく異なることを忘れてはなりません。例えば、湾岸マンションは眺望もひとつのウリですが、工法によってそれが生かされもし殺されもすることをぜひ理解していただきたいのです。
実際、汐留地域のタワーマンションに住んでいたある方はこんな感想を漏らしていました。「構造もしっかりしていて、浜離宮を眼下に見る景色も素晴らしく、最新のタワーマンションはじつに快適。ただ、ひとつだけ不満がある。せっかくの眺望も椅子に座ったら空しか見えない。」窓際の床には構造梁があり、それが視界を遮ってしまっていたのです。
室内から見て、天井部分に梁がある工法を「順梁(じゅんばり)」、床にある場合は「逆梁(ぎゃくばり)」といいます。光の採り方や景色の見え方などそれぞれに違いがありますが、一般的に逆梁の場合は外観がシャープでスタイリッシュなデザインになりやすいと言われていました。しかし、逆梁のマンションはフィックス窓を選択しなければならない場面も多く、通風やメンテナンス(自分で窓が拭けない)を考慮すれば、順梁のほうが暮らしやすいという意見も少なくないようです。
分譲マンションを作るデベロッパーの目線で見れば、敷地状況や事業環境によって選択の余地は異なるのかもしれません。ですが、確かにいえることは、自宅として使うユーザーは、「梁の位置ひとつで暮らし方が大きく変わる」可能性があるということです。
湾岸エリアはタワーマンションの宝庫です。半径数百メートルのゾーンに20年以上前に完成した物件から来年竣工するものまで、時代別に超高層を比較して見ることができます。開口部やバルコニーの利用状況などポイントを絞って観察すれば、自分はどのタイプが好みがイメージすることができるかもしれません。
【湾岸エリアの注目物件(販売予定)】
DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)
KACHIDOKI THE TOWER
(仮称)港区芝浦 GLOBAL BASE PROJECT
湾岸エリアはタワーマンションの宝庫
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)