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インテリアコーディネートのヒント

2017年03月01日更新

空き室がすぐに埋まるインテリアコーディネートテクニック ~暮らしのシーンが目に浮かぶ空間演出

年間700件以上の個人邸やモデルルームのインテリアを手掛けるコーディネートの専門会社、May’s。1988年の設立以来、多くのクライアントから、的確なプランニングと洗練されたセンスについて高い評価を受けてきた。モデルルームを演出すればすぐに入居者が決まるという、そのテクニックを実際の事例をもとに解説してもらった。

アクティブなシニア層を想定したインテリアプランに

解説してくれたのはMay’sのインテリアコーディネーター、Iさん。住宅から店舗まで幅広いジャンルで空間演出を手掛けている。今回、案内してくれたマンションは、月島駅から徒歩1分の都市型賃貸物件だ。地上12階建ての6階、1LDK(49.10㎡)と2LDK(57.03㎡)のコーディネートを行った。
このマンションで想定されている入居者はシニア層。「ただ、まだ介護が必要なわけではなく、リタイアされてからも現役のときと変わらずアクティブに毎日を過ごされている。ご夫婦とも互いのライフスタイルと生活ペースを尊重しながら、ときにはご友人やお子さんやお孫さんとホームパーティーを楽しむことも。そのようなお客様に住んでいただけるようなコーディネートを求められました」とIさん。

1LDKを「クラシックなサロン」にコーディネート

まず1LDKのほうから見ていこう。都市型物件ということもあり、ややコンパクトな室内だが、キッチン、リビング、ダイニングが一体となり、奥行きに広がりを感じる。スリット状の縦長の開口部が連続しているのがユニークだ。
この住戸のインテリアのコンセプトは「クラシックなサロン」。夫婦ふたりが暮らす設定だが、4人がけのダイニングセットが置かれ、リビングのソファも2人がけ。くつろげる場所がさりげなく配され、ゆとりある雰囲気に。遊びに来た友人を迎え入れ、サロンのように落ち着いて語り合えるようなレイアウトとなった。
「あまり重厚な雰囲気にならないよう、柔らかなフォルムを持つ家具を選びました。ソファも通常であれば3人がけにするところですが、このリビングの広さだと圧迫感が生まれてしまうので、あえて2人がけのコンパクトなものにしています」。分譲物件、賃貸物件、それぞれにリビングなど空間の大きさは異なる。その大きさに合わせ、バランスのいいサイズの家具を選ぶことが大切だ。
また、2人がけのソファでも、スクエアなタイプではなく、ゆったりと曲線が広がるタイプで色味も明るいものをチョイスしているので、ゆったりとしたイメージになる。
メインの照明にはシャンデリアを選択。取り付けやすいよう重量がさほどないものにしたが、夜には光が広がり、華やかな雰囲気を添える。さらに、部屋の要所にスタンドライトも加えた。読書などの際に明るさを足す機能があるほか、インテリアのクラシック感をほどよく高めている。室内の背景としてうまく調和させるため、すっきりしたシェードに替えているのもさりげない配慮だ。

夫婦の個性を家具や小物で表現

寝室には2つのシングルベッドが並べられた。「夫婦の寝室ですとクイーンサイズのダブルベッドでもいいのですが、この物件ではご夫婦それぞれの生活ペースを大事にしているということで、ベッド2台としました」。
夫と妻の個性は窓際にも表されている。出窓のように巡らされた開口部前のスペースだ。妻の好みの花器が飾られたり、夫の趣味の模型が置かれたり。Iさんは、そこに暮らす夫婦の姿を脳裏に描きながら、まるで実在するかのようにその生活のシーンを具体的に小物やインテリアで表現していく。
「特にシニア層の方ですと、趣味が豊かでコレクションも多数お持ちです。あまり生活感のないようにコーディネートしてしまうと、『ここに住めるかしら』と不安に思われるかもしれません。お好きなものをお好きなように飾っていただけるような”余白”を用意しました」。ただ見た目よく飾りたてるだけではない。暮らしを理解しているベテランならではの心遣いだ。

個々の時間を充実させる2LDK

2LDKの住戸のほうは、個室が2つある代わりに、LDKがややコンパクトになっている。こちらはその分、個室で過ごす時間を重視したコーディネートとなった。
リビングに隣接した個室は夫の書斎だ。6畳ほどの広さだが、クロゼット、ベッド、デスクがほどよくおさまっている。
この部屋のポイントはデスクだ。「ガラスの天板、金属系の脚で、遊び心と軽さを持たせました」とIさん。帽子を架けたデスクライトもどこか楽しげな雰囲気を醸し出す。
いっぽうの個室は妻の寝室。ベッドの脇にラウンドチェアが置かれた。就寝前に静かに読書するイメージだ。リビングよりも落ち着いた色合いにまとめた。どちらの個室もキーになる家具によってそこでの過ごし方が一目瞭然となっている。
リビング、ダイニングのスタイルは1LDKよりもややモダンに。ダイニングテーブルの食器もあえて色柄の印象が強いものをセットした。チェストはテレビ台も兼用。このあたりは、限られた空間でさりげなく収納量を確保するアイディアだ。
こちらも1LDKの住戸と同じくリビングのソファは2人がけ。ただ、オットマンと床のラグをソファに組み合わせることで、部屋全体に意識を広げ、ゆったりくつろぐ雰囲気をつくっている。

暮らしの情景を彩るインテリアコーディネート

どちらの住戸もシニア層の収蔵量を想定して、置かれている家具や小物の量が比較的多い。それにも関わらず雑然とした印象にならないのは、ベースとなるインテリアスタイルを定めたうえで、「見せるべきもの」が視界で引き立つように、配置やカラーリングが計算されているからだ。
Iさんの場合、コーディネートのプランニングは、間取りの把握から始める。人がどこから入ってどう動くのか。それによって必要な家具を頭の中でレイアウトしていき、その空間における視界も立体的にイメージするという。
「ここに立つとこう見える、そうしたらこんな眺めだったら素敵だな。そんな感じでシミュレーションしながら、色やインテリアアイテムを調整していきます」。
今回、解説してもらった2つの住戸は、どちらも白いクロスに木調のフローリングとごくフラットな内装だった。がらんどうのままでは、普通の人ではそこでの生活をイメージするのは困難であったはずだ。
Iさんによるインテリアコーディネートは、白いキャンバスに色彩を加えた。2組のシニア夫婦がストレスなく伸びやかに暮らしを楽しむ様子が容易に想像できた。暮らしの情景はインテリアによって表現されるのだと思い知った。

May’sは1988年5月16日に設立。社名は設立した「5月」に由来する。家具のリース、販売からコーディネートまでインテリア全般を扱う。
クライアントからの要望に対し、専門のコーディネーターが相談に乗り、予算や部屋の寸法等に合わせ、家具からカーテン、照明器具、ラグ、家電などを含めたトータルコーディネートを提案。
コーディネーターはプランニングだけでなく、部屋の採寸からメーカーショールームへの同行案内、商品の説明まできめ細やかにサポートする。
複数のメーカー商品を購入する場合には、倉庫に集約した上で一喝納品することも可能。納品に際しては、同社スタッフが立会いのもとで搬入して、プラン通りに仕上げるところまで責任を持つ。
インテリアをトータルに扱う独自のワンストップサービスにより、個人住宅から店舗、マンションのモデルルームなど様々な分野から注目されている。


1LDKタイプの住戸のコンセプトは「クラシックなサロン」。全体的にソフトで明るい色調の中に優美さが漂うコーディネートでまとめられた


1LDKタイプの住戸の寝室では、シングルベッドを2台並べた。スタンドライトの明かりがインテリアに温かみを与え、穏やかな雰囲気に


2LDKタイプの住戸では、落ち着きの中にもモダンなテイストを加えた。ダイニングテーブル、ソファにオットマンが組み合わされ、室内全体でくつろぐ場に


2つの個室は夫の書斎(左)、妻の寝室(右)としてコーディネートされた。書斎ではガラスの天板のデスクが遊び心を感じさせるアイテムに。妻の寝室では、ラウンドチェアとスタンド、テーブルによって就寝前のひとときに読書するシーンが表現されている





株式会社メイズ 本社およびショールーム
〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-2-2 虎ノ門30森ビル 1F
Tel: 03-5402-4600(代)
ショールーム 月~金:10:00~18:00 土:10:00~17:30 定休:日・祝
http://www.mays.co.jp




家の時間
編集部
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