2010年01月13日更新
家事・子育てが楽しくなる暮らし方 「+NEST」旭化成ホームズ
「二世帯住宅」や「ペット共生住宅」など、多くの住生活提案型商品を生み出してきた旭化成ホームズ。2009年9月、住生活研究をはじめて30周年を迎えたのを機に、マンションやリフォームなど幅広い分野で住ソフトを提案していこうと住生活研究所を「くらしノベーション研究所」と改称し、新たなスタートをきった。
その第一弾として発表したのが「+NEST(プラスネスト)」。「NEST」は英語で「巣」。子育て世代が毎日の暮らしでたいへんなコトを楽しくできる住まいの工夫を提案し、家族全員が自立していい関係を保ちながら暮らせる「巣」を創り出している。
ポイントは、忙しい現代ならではの生活シーン(コト)を豊かな家族の時間に変えるように、住まいのパーツ(モノ)が採用されていること。例えば、対面オープンで広々としたワークスペースのペニンシュラキッチン。ここでは「朝だんらん」をテーマに、忙しい朝食の時間を家族が助け合って楽しく過ごすシーンが描かれている。
「家族の生活時間調査をしたところ、時間を合理化してもコミュニケーションの時間は生まれにくいという結果が出ました。そこで、時間をつくるのではなく、家族それぞれの時間を重ねることにより、暮らしを楽しむ工夫を導こうと考えました」(くらしノベーション研究所 主幹研究員 入澤敦子氏)。
実際、子どもは塾や習い事、父親は平日は残業で、夕食に家族全員が揃うことが少なくなってきている。そこで、家族全員が揃う「朝」にスポットをあてた。子どもや父親も自然と料理や片づけを手伝えるよう、ダイニング側の背面からも水栓が使えるようにしたり、カトラリー収納をダイニング側に設けたり…キッチンを囲んで家族が楽しむ風景が描かれている。
また、「+NEST空間」はリビング・ダイニングの一角に設けられた子どもの勉強スペースをメインに想定した多目的スペース。家事をしながら目の届く場所に設けられている。「この空間は、小学生の約8割がLDで勉強をしているという調査結果や、食事の配膳の際、ダイニングテーブルが消しゴムのかすだらけで困る、という奥様の生の声から生まれました」(入澤氏)。
同研究所では、数多くのアンケート調査からデータを分析するだけでなく、積極的に訪問調査を行い、家族の生の声を商品開発に取り入れている。「+NEST空間」も、2007年に一部地域で試行販売した学習コーナー「NEST空間」をさらに進化させ、乳幼児期のお昼寝の場、パパと子どもがじゃれ合う場など、様々なシーンを想定しタタミタイプもプラスしたものだ。
部屋にこもることなくリビング・ダイニングにずっといたくなる「+NEST空間」。ママは家事、子どもは勉強と違うコトをしていても、一緒にいる安心感が生まれる。時には一緒に遊んだり、時にはお昼寝したり、使い方もいろいろ。
「出しっぱなし」を解消する「家族ロッカー」。棚板やハンガーパイプの高さも調節できるので、成長に合わせてすっきり収納。共有スペースには、非常用リュックや資源ゴミなどを。
「朝だんらん」が楽しくなるペニンシュラキッチン。シンク横のスペースを広くとり、脇から子どもたちもお手伝い。忙しい朝もみんなが手伝ってくれれば、楽しく早く準備ができそう。
「家族ロッカー」も「帰宅時のかばんや衣類の放置が悩みどころ…」という母親の声から生まれた。玄関に設けられた各自専用ロッカーは、自分で出し自分でしまうという習慣づけをし、母親の片づける手間をなくしてくれる。また、朝、子どもと父親が一緒にロッカー前で身支度をする微笑ましい光景、時間が合わない日はロッカー扉のメッセージボードでコミュニケーションをとるなど、子育て世代なら思わずうなずいてしまう提案がされている。
「これらの提案は、子育て現役世代からは多数の共感を得、展示場を見ていただくだけで、生活のシーンを想像していただいているようです」(入澤氏)。子育てまっただ中の世代はもちろん、これからというプレ子育て世代にも、近い将来のリアルなシーンを想い描くことができ、大いに家づくりの参考になるだろう。
住宅というハード商品に、生の声から生まれたソフトのコンセプトを加えた「暮らし方」を提案する「くらしノベーション研究所」。「今後は、研究所の二世帯住宅に関する長年の研究成果をふまえ、親世帯・子世帯での『孫(子)育て』について考えていきたいですね」(入澤氏)。別のワーキングチームでは「環境」テーマを切り口にした研究も進めているという。今後も、時代と共に変わっていく家族と住まいのあり方に合わせたライフスタイル提案に期待したい。
旭化成ホームズ株式会社http://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/