2009年09月09日更新
風・太陽・緑も設計する「涼温房の木の家」住友林業
住友林業の住まいには、自然が生み出す恵みを活かし、その魅力を最大限に引き出す工夫が随所に施されている。
「弊社で使用する主要構造材の約70％が国産材です。モデルルームではスリッパを脱いで、お客様には木の”触感””温度感”を味わっていただいています」と同社営業企画部次長の磯村氏は語る。木の家といっても、樹種によって色合いや質感は大きく異なる。柱は檜が主だが、内装材には定番のオークから木の宝石と呼ばれるチーク、個性的なバンブーなど多彩な無垢材のラインナップを揃え、住み手は希望に合わせて選ぶことができる。建具も同じ材で提案するため、室内全体がすっきり見えると好評だ。
同時に、日本の気候風土に合わせ、自然の力を上手に利用した住まいづくりも推進。設備により機械的にコントロールする「冷暖房」に頼るばかりではなく、自然の力で快適にする日本の住まいの知恵を結集した「涼温房（りょうおんぼう）」設計を2005年より提唱し、「風の設計（通風）」「太陽の設計（採光）」「緑の設計（植栽）」をプランニングに取り入れている。敷地だけでなく、隣家の位置や周辺環境、全国のアメダスデータなどから、24時間365日のデータをシミュレートし、最も効果的で、快適性の高い設計プランを提案する。
「涼温房」の家に欠かせない”風の設計”。通風を効果的に得る窓の配置、高低差の確保とトップライトの有効利用、屋外から屋内への風の経路などを綿密にシミュレートしてプランに反映させる。
自然の恵みを上手に採り入れた「涼温房」の住まいに、太陽光発電システムでエネルギーをつくる機能もプラスした同社の「マイフォレスト－ソラボ」。２つの発想の相乗効果でCO2排出量を削減する。
一年を通して心地よく過ごす知恵が生きる「涼温房」の木の家。風、太陽、緑といった自然のエネルギーを活かし、冷暖房設備だけに頼りきらない住まいづくりの考え方を提唱している。
「シミュレート結果を受け、窓の開く向きを変えるといった微調整はもちろん、時には思い切ったプラン変更を行うこともあります。弊社の『涼温房』の設計思想を反映した住まいは、新省エネ基準を満たした一般的な住宅に比べ、エアコン使用時間が年間で約1000時間少ないという調査結果も出ています」（磯村氏）。
こうしたきめ細やかなプランニングを行うため、同社では営業担当と設計担当の二人が家づくりを提案する専任チームを導入。商品ラインナップにとらわれることなく、顧客それぞれの異なる希望に応えるオーダーメイドスタイルの家づくりを行っている。木の家だからできる自由な設計を活かし、和風や洋風といったデザインテイストの好みから、３階建て、店舗との併用といった住まい方の違いに合わせた家づくりを行っている。
敷地対応力の高い「マルチバランス構法」、将来の可変性がより高い「ビッグフレーム構法」、耐火性が強く都市部に適した「ツーバイフォー構法」の３種があり、立地条件に合わせて最適な構造を顧客へ提案。数あるハウスメーカーの中でも柔軟性が高い住まいづくりといえるだろう。今年６月より施行された『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』には、全ての商品で標準対応が可能（プラン・仕様による）。ここ数年普及の進む太陽光発電システムや家庭用燃料電池「エネファーム」も積極的に導入している。
こうした家づくりにあたっての同社ならではのキーワードが「国産材の積極活用」と「環境への取り組み」だ。国産材を積極的に活用することで、海外からの輸入材に頼る一般的な木造住宅に比べ、ウッドマイレージCO2（輸送過程のCO2排出量）を85％も削減している（同社試算）。また、国内山林においてもCO2吸収力の高い若い木への世代交代を促し、森の新陳代謝が進むという。
「弊社をお選びいただくお客様の中には、環境への意識が高い方も多くいらっしゃいます。弊社では1991年から熱帯雨林再生研究を行い、成長が早く、CO2吸収力の高いファルカタなどの早生樹を、インドネシアで植林・育材する活動を進めています。今年からは、お客様が建てたお住まいの延床面積の２倍の面積を植林し、10年間管理して育て、将来の建材にもつながる循環型林業を実践していきます」（磯村氏）。自宅だけでなく地球規模で環境共生を推進する同社の取り組みは、今後の住宅トレンドの大きなヒントとなるだろう。
住友林業株式会社http://sfc.jp/ie/
