2010年08月04日更新
意外と知られていない構造、工法の違い
住宅を建てる上で、耐久性や耐震性、あるいは居住性といったいろんな性能の基礎となるのが構造、工法です。もちろん、これらは後から変えることできない大変重要な住まいの構成要素なわけですが、それにもかかわらず、意外としっかり把握されていないこともこの分野の特徴といえるようです。例えば、木造と鉄筋コンクリート造の家では、コスト、耐火性、遮音性などが大きく異なってくるということは、なんとなく理解できるのではないかと思います。コンクリートは燃えないし、音も木造ほどは響かないことくらいは誰でも想像しやすいからです。
しかし、居住空間の広がりに限度が出たり、景色の見え方が変わることまで理解できている人がどれほどいるでしょうか。毎月の水光熱費や毎年の固定資産税に差が生じることは知られているでしょうか。そもそも地盤の状態によって建築費が大きく違ってくる構造もありますから、施主の好き嫌いで選択することが最善とは言えない場合があることも認識しておくべきです。
つまり、万が一の火災や地震、または建ってから30年~40年後に生まれる違いの比較だけではなく、目に入る風景、暮らしやすさ、電気代や税金などなど日々の生活に密接にかかわってくるのがこの構造、工法なのです。そして好みだけで選べるものではなく、地盤、地形、借景、街並みなど与えられた立地条件によっても、その最適な方法が異なる点も押さえておかなければなりません。
<代表的な構造と工法>
■木造
木造軸組工法(在来工法):木材で柱や梁を組んで骨組みをつくる日本古来の工法。
現場で木材を切り組み立てることから、設計の自由度もさることながら、建築途中の
変更など融通が利く点もメリットがあると言われています。
2×4工法(枠組壁工法):2インチと4インチの木材とそれらを覆う合板パネルで壁
組む主に北米で普及した工法。在来よりも工期が短くて済みますが開口部の制限を受けます。
■鉄筋コンクリート造(RC造)
マンションなどの中高層建物に使われる構造、工法。束に組んだ鉄筋の両脇に型枠を立て、
その間にコンクリートを流し込んで組み上げていきます。工場であらかじめ作ったパーツを
組み立てるプレキャスト工法という手法もあります。これは精度の高さ、工期短縮が利点です。
■鉄骨造
鉄骨の軸にALC(軽量気泡コンクリート)パネルや不燃パネルを貼る工法が代表的なものです。
プレハブ住宅にもっとも多く採用されています。
■外断熱工法
壁の内側にある断熱材を外側に付けることで断熱性能を高める工法。寒冷地に多く見られます。
冷暖房コストが抑えられますが、外観上のデザインに制約が出やすいといわれています。
■耐震性
地震の揺れに対する構造設計には、耐震、免震、制震の三種類の構造があります。
最近では、おもに超高層マンションのような大きな建物では、
上層部の揺れ幅を抑制するメリットから免震構造の建物が普及してきました。
また、免震構造は居住空間における柱梁の圧迫感を軽減される効果もあるなど、
新たな付加価値が見い出されつつあるとして注目されている構造、工法です。
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