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2009年11月11日更新

今だからできる、自分の「我儘」を形にする理想のリフォームを

愛着のある我が家も長年のうちに老朽化が進み、あちこちに不具合がでてくるもの。 「どうせ直すのなら、現状維持ではなく、理想の住まいにステップアップするようなリフォームをしてみては?」と提案するのは、建築家の各務謙司さんだ。 これからの暮らしをより快適なものにするリフォームのコツ、依頼先の選び方などを語ってもらった。


 各務さんの初めての仕事はリフォームだ。まだ大学院生だった各務さんに知人がマンションリフォームの相談を持ちかけたのだ。「その人はすでに一度リフォームを試みていたのですが、思うような仕上がりにならなかったんです。そこで、欠点を消してゆくより、長所を伸ばす視点でリフォーム案を作成しました」(各務さん)。この提案を気に入ってもらった各務さんは、そのまま設計を仕上げ、実際の工事の監理までも手掛けることになった。

 その後、アメリカに留学し、ニューヨークの高級住宅専門の設計事務所に勤務。都心のマンションリフォームと郊外の別荘の新築などを中心に経験を積み重ねていった。「約2年の間に数多くのセレブリティと接し、彼らのライフスタイルを体感することができました。”こういう人が住むのだからこういう空間にしなくては”という、住まい手の個性をプランに生かす姿勢は、今も私の設計上の基本になっていますね」。

 各務さんのリフォームは、工事が終わったときにはまだ完成していない。住まい手の暮らしがスタートして、モノがおさまり、インテリアが整い、住まい手の暮らしがスタートした状態を到達点として設計されているのだ。一分の隙もないようなデザインは単体としては美しいかもしれないが、住まいの主役はあくまでも住まい手であるべき。暮らしを包み込んだときに心地よく、美しくなるような空間を提供したい。各務さんはそう考えている。

 日本に戻ってからもリフォームの依頼は数多い。各務さんの手掛けるリフォームのいちばんの特徴は、現状の不満をゼロに戻すのではなくプラスに転じることで、暮らしをさらにステップアップさせることだ。「単純に内装や設備機器を新しくするだけではもったいない。日常のライフスタイルに新しい要素を加えたり、ちょっと調整するような何かを付与するだけでも暮らしは快適で楽しいものになるはずです」。

 そんな各務さんが今注目しているのは、50代からのリフォームだ。「生活経験が豊富で価値観やライフスタイルも確立されている層ですよね。いろいろとやりたいことや理想の空間へのこだわりをお持ちのはずです。”こんなことできるといいな”という心の底にある夢をお聞きしたいですね」と身を乗り出す。

 今まで妻にも言わなかったホームバーやゆとりの浴室への憧れ。夫のいびきから解放される自分だけの寝室やお気に入りのアートを飾るギャラリースペース…。「私の仕事の第一歩は、そうした心の声を引き出すこと。ライフスタイルのご相談にのることだと思っています」。

 現在の施工技術や建材・設備のバリエーションがあれば、たいていのことは実現できる。各務さんは「こう変えれば快適になりますよ。こんなプランはいかがですか」とアイディアやヒントを顧客に提案していく。「お互いに楽しくなってくると、会話がバァッと広がっていきますね。キャッチボールのようなものです」。こうなれば、必ずいい結果に結びつくのだという。

 さて、そんな理想のリフォームを実現するためには、どのようなリフォーム会社や設計者に依頼すればいいのだろうか。「まずは施工例をホームページなどでチェックしてみましょう。7割方の作品が気に入るようならコンタクトをとってみてもいいと思います。提案力を見極めることも重要です。予算を守ったプランと予算を考えず思いっきり遊んでみたプランと2種類を要求してみるといいですよ。それぞれの案のメリットとデメリットを説明してもらうと、その過程でコミュニケーション能力もはかることができます。何よりも一緒になってリフォームを楽しめるパートナーと巡り合えるといいですね」(各務さん)。

年を重ねるごとに求める機能が増す、そんなスペースのひとつが『寝室』。たとえば好きな本はいつでも手に取れる場所に。また、思い出の写真や旅先で買ってきた小物をディスプレイしたり、 さらに書斎の場としても活用したい。(この画像は各務さんが手掛けられたニューヨークの高級アパートメントのリフォーム実例)



「こんなことがしたい」という気持ちはあっても、それをどう実現してくれるのか住み手は常に不安なもの。各務さんが”キャッチボール”と呼ぶ施主との会話では、ときにこのような3次元のイラスト画でイメージを具体化してくれるそう。「人の大きさと比較できれば、専門家でなくとも(完成形を)想像しやすいでしょ?」(各務さん)という言葉にもリフォームを成功させるコツが隠されている




今回取材をした各務謙司(カガミケンジ)さんは日本の大学院を卒業後、渡米。ハーバード大学でデザインを学び、現地の建築事務所に勤務した後、港区で設計事務所を開く。おもに都心の高級レジデンスを得意とする。取材協力:カガミデザインリフォームhttp://www.kagami-reform.com


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