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2009年09月30日更新

夫婦二人なら、「平屋のワンルーム」が理想的

50代を迎えると、だんだんと子どもたちは巣立っていき、再び夫婦2人の生活に戻っていく人も多い。 空いた子ども部屋をどうしよう、キッチンもそろそろ新しくしたい、もっと楽にもっと快適に暮らしたい… そんな思いが湧き上がっている人も多いのではないだろうか。 建て替え、住み替え、増改築、それぞれの選択肢のベースとなる「間取りの考え方」について 住まいとインテリアのコーディネーター、田中秀代さん(スタジオ・コルテ代表)にアドバイスをしてもらった。


 「ひとくちに”50代”といっても、その状況はみなさん様々です。まずは自分たちの日常生活について振り返ってみてはいかがでしょうか」と田中さんは提案する。

 50代以降は、子どもたちの独立や親の介護など家族構成に大きな変化が生じやすい。会社勤めをしている人は定年が意識されるだろう。子どもや仕事に割いていた時間が減少し、自分たちだけのために使える時間が増えてくる。 現在は健康であっても、病や老化への不安も感じているはずだ。子供関連の出費も終わり、自分たちの生命保険の見直しなども必要になる。

 環境や社会の問題に目を向けるゆとりも生まれるし、夫と妻、お互いのライフスタイルの相違点、共通点も明確になってくる。「これからの人生を豊かなものにするためにも、家庭全体のあり方を見直す時期に差し掛かっているんです」と田中さん。暮らしの基盤となる、住まいについてもこの機を逃さず、きちんと検討してみることが重要になる。

 プランの打ち合わせの際、田中さんは「間取り」という言葉をあまり使わない。部屋を平面的に細かく区切っていくような印象をあたえるからだ。むしろ無駄な間仕切りやドアはいらない。夫婦二人で住むのなら「平屋のワンルームが理想的」と田中さんは説く。可変性があり、将来、住まい手がどのような状況になっても間取り変更がしやすいからだ。

 そのプランのキーとなるのは寝室だ。「寝室をセカンドリビングとして考えたいですね。夜中の利用も考えるとトイレは隣接させて、なるべくなら浴室・洗面室も同じフロアにしたい。寝室内にミニキッチンや書斎コーナー、ホームシアターなどをプラスして、ベッドのそばでリラックスした時間を過ごせるように心がけます」。

 ひとつの部屋にいくつもの機能を付加していくと、動線も短くなる。生活に必要なスペースは以前よりコンパクトにまとまるケースもありうる。「そういうときには増築の逆として”減築”を提案することもあります。使わなくなった2階の子ども部屋の床を取り除き、吹き抜けにすれば階下のリビングともつながりができますし、床面積が小さくなれば掃除も楽になるというメリットもあります」。

 改善のヒントを得るには、朝起きて夜寝るまでの日常生活の中で、どんなことが支障になっているか、どんなことをしているときが幸せであるかを書き出してみるといい。「まず、みなさんが住まいの不満や不安として思いつくのは、冬の寒さや結露などの断熱性の不足、キッチンや洗面台、お風呂などの水回り設備の老朽化、建物の耐震性への懸念といったところではないでしょうか。最近の建材、断熱材、設備機器は非常に性能がいいですから、最新の製品と交換するだけでも快適性は十分にアップすると思いますよ。そしてせっかくそんなにいいモノを導入するのであれば、その性能が十二分に発揮できるコレカラのスタイルにあった楽しい住空間にできればもっといいですよね」。

 急速に普及の進むタンクレストイレを採用するのなら、洗面脱衣室とトイレを仕切らず、ひと続きにして開放感のある場に。キッチンを入れ替えるのなら、食卓と一体となったオープンなダイニングキッチンに。「キッチンもトイレも昔と比べてデザインが格段によくなりました。狭い空間に閉じこめるのはもったいないです。もっと他の部屋と連続させて、広々とした空間にしたいですね」。

 スペースにゆとりを持たせた分、寝室を「夫婦別室」にするというのも有効だ。お互いのペースにあった生活時間を過ごすことができる。エアコンも自分の適温にできるし、相手のいびきに悩まされることもなくなる。「ただし、孤立してしまうのはよくないので、2つの寝室をつなぐ内扉を設けたり、2室の間仕切りにウォークインクローゼットを設けて両方から使えるようにするなど、何らかの接点を持たせるといいですね」。

 50代、60代ともなると、自分たちのライフスタイルは確立されているはず。自分の暮らしに合った間取り、収納、設備機器を追求していけば、きっと今よりも住まいの快適性は向上する。「既存の間取りにこだわらず、コレカラの自分の身体能力に合うよう動きやすくてわがままなプランで良いと思います。検討する際には今後も変化していく生活環境に対応できるかどうかについても、工務店なり設計事務所なり、住宅のプロに冷静なアドバイスをもらうようにしたいですね。要望の優先順位も整理しやすいと思いますよ」。  50~60代のうちなら、新しい間取りや動線の変化にもまだ対応できるはず。今後の暮らしの場を整え直して「終の住処」を準備しておくようにしたいものだ。

IHクッカーの利点を生かした開放的なキッチン。田中さんが実際にプランニングした一例
photo:YOZO TAKADA




プランを考える際には、今の生活の不満点などをしっかり整理しておくこと




住宅設備の進化には注目の価値あり、と説く。「実際に使えば、こんなに便利なんだと思うことがたくさんあるはずです」と実体験に裏打ちされたアドバイスをおくる


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リクルート社発行「50代からの暮らし応援マガジン」
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