2017年05月12日更新
厳選物件レポート「ザ・パークハウス 本郷」前編:立地評価
本郷も かねやすまでは 江戸の内
本郷通りと春日通りの交差点「本郷三丁目」(画像参照)。服飾雑貨店「かねやす」を歌ったこの川柳は<都心>を明確に線引きした江戸時代の名残りだ。しかしながら、現代同様人口増加に伴いその範囲が拡充していったさまは、近接の「水戸徳川家御屋敷」(いまの「東京ドーム」「小石川後楽園」)や「加賀藩御屋敷」(同「東京大学本郷キャンパス」)が家族の住む「中屋敷」から大名当人が在する「上屋敷」に移行した例などからも窺い知ることができるだろう。さらに、これら史実からわかることは、中仙道をはさむ両屋敷の存在からして当該エリアは都市形成における高い拠点性を有していたことである。
本郷三丁目交差点にある「かねやす」撮影:2017年5月10日
本郷1丁目、2丁目は本郷台地の南端に位置する。「山の手」の語源になぞらえれば「手の指先」に相当するわけだ。高台でありながら平坦。低地に向かう斜面は南側「壱岐坂」辺りに多少。本格的にはさらに南に、神田川を超えてからとなる。春日通りからまっすぐ南下する数本の道。整った街区割りが落ち着いた環境を形成した。以前は本郷「弓町(ゆみちょう)」といったそうだ。鬼門であったことから弓を打つ慣習が、地名由来となった。それは近年竣工したマンション名称にも散見できる。文京区には、こうした歴史の一部を何かしらの方法で継承するといった例が随所に見られる。
本郷のマンションといえば、真っ先に思い出すのが「パークハウス楠郷臺(なんごうだい)」。楠木正成末裔が代々受け継いできた土地である。樹齢600年の大きな楠を残すことを優先し、あえてスリムな建物とした。「免震コアウォール」といって、当時住宅業界では最先端の建築技術を投じて建設された。楠と向き合う部屋はほとんど売りに出ないという噂を耳にしたことがある。仮に出たとして、表に出ないうちに売れてしまうのかもしれない。設計、分譲は三菱地所。
「パークハウス楠郷臺」の大楠。区内最大の大きさを誇る(2017年5月10日撮影)
それ以外にも、三菱地所はこの近くで「パークハウス本郷真砂」「本郷パークハウス ザ・プレミアフォート」を建設、分譲している。前者はライフスタイルブランドとのコラボレーションによる「外観デザイン」に特徴が。後者は「免震壁式」の発想を応用、免震の特徴をいかして中高層建築物でありながら室内に柱梁の出ない「TWSF構法(免震厚肉床壁構法)」を採用。現在でも免震壁式のマンションは「目白ガーデンヒルズ」「グランドヒルズ三軒茶屋」「加賀レジデンス」などごく一部の高級マンションにしか用いられていない希少な技術である。「安心」と「すっきりした心地よい空間」をともに提供するメリットがある。
数棟ものエポックメイキングな実績を残す三菱地所グループ「三菱地所レジデンス」が、今夏「本郷1丁目」で新しく分譲マンション「ザ・パークハウス 本郷」を計画中だ。立地は、手塚治虫氏が贔屓にしたことでも知られる旅館「朝陽館本家(ちょうようかんほんけ)」跡地。南西角地の好条件敷地である。「あの場所」にどのような建物ができるのか。興味深く拝見したい。
朝陽館本家(撮影:佐藤真美、2016年6月)
「ザ・パークハウス 本郷」建設地(2017年5月10日撮影)
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