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住宅ライターの家づくり奮闘記

わが家の朝のひとコマ。学校に送り出すために、子どもたちに先に朝食を用意します。

2階のベランダの手すりに空いた穴。実はハチが巣作りのために密かに掘っていました。さっそくハチ用のスプレーをホームセンターで買ってきて、お引き取り願いました。

2015年10月08日更新

コストパフォーマンスに優れた家とは

先日、仕事先で「コストパフォーマンスのいい家ってどんなものでしょうね」という問いを投げかけられました。たぶん一般的には、払ったお金に対してもっとも効果の高いリターンがあれば「コストパフォーマンスに優れる」ということになるのでしょう。

住宅は約2000ものパーツで構成されている、という説があります。屋根・外壁、内装、柱や梁などの構造、基礎、設備機器、配線・配管などそれぞれのパーツについての材料費のほか、施工費用も加わります。また土地そのものの費用、地盤改良費、古家があれば解体費などもかかってきます。

つまり、住宅の費用はざっくり分けて、材料費と施工費ということになり、そこに住宅会社の経費や利益が乗っかってくるわけです。さらに、建てた後のメンテナンスのコストも考慮に入れるべきでしょう。

材料費じたいは流通網の発達により、仕入れ先や製品、産地ごとの価格差は小さくなってきているように感じます。よっぽどの粗悪品を使ったり、コスト度外視の高級品を使うなら話は別ですが、現実的な予算の中で計画する場合は、材料ではコストパフォーマンスの差はつきにくいのではないでしょうか。

また、良質な素材を用いていても、施工がよくなければそのよさは引き出せません。そして建物が完成したあとの劣化についても、施工精度は大きく影響します。むしろ施工面にこそコストパフォーマンスの違いが生まれてくるように思います。

「施工のよさ」は単に「腕のいい職人」がいれば実現できるというものではありません。意匠だけではなく、生活機能や断熱・耐震などの性能、耐久性、メンテナンス性も考慮した設計、その意図を現場に伝える図面や連絡の体制、適切に職人を指揮する現場監督、そしてそうした施工体制を尊重する会社の姿勢が必要になります。

もっと言ってしまうと、施主に建物への愛着を持たせるデザイン性、打ち合わせのプロセス、建てたあとのお付き合い、担当者や会社との信頼関係なども満足度に影響するので、「コストパフォーマンス」を考えるうえでは、意外と重要なのかもしれません。

そういう意味では、わが家も大変コストパフォーマンスに優れた住宅だと言えそうです。








住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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