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住宅ライターの家づくり奮闘記

わが家のある路地の様子。手入れされた車や庭木には、それぞれの家の住まい手の存在が感じられます。整然とした路地であれば、もしよそへ引っ越す人がいても、次に住もうという人も出てくるのでは。また、不審者が入ってきても目立ちますから、防犯の効果あるように思います。

わが家の外回りには砂利を敷いてあります。雑草の防止のほか、踏むと音がするので防犯面にも役立っています。まあ、それでも草は砂利の隙間から生えてくるので、定期的に引っこ抜く必要はありますが。

2015年01月26日更新

増える空き家。街並みの維持が課題

2014年の総務省発表によると、全国の「空き家」は820万戸、総住宅数に占める割合が13・5%と過去最高を更新しています。日本の人口自体が毎年、25万人ペースで減少しているということと、人口の流入する自治体と流出する自治体の二極化が進んでいることが大きな原因です。高齢者の割合の増加により、自宅からケア施設や病院などに移っている人もふえていることでしょう。

去年2月、首都圏をはじめ、全国的に降った大雪のとき、その影響が実感されました。路地によって、雪が早々に片付けられたエリアと、空き家が多いため、そのまま残っているエリアとが明確に分かれていました。

人が住まなくなると、家の老朽化は格段に進行します。閉めきりになるため、空気の入れ換えがなくなり、湿気がたまり、腐朽・劣化が進みます。また日射や風雨にさらされる外回りも放置されることで、見た目にも明らかに「空き家感」が醸し出されることに…。

雑草が生え、門扉が錆びて、汚れがついたままの外壁。突っ込まれたチラシがポストからはみ出て周囲に散らばったり。場合によっては、ゴミが投げ込まれたり、塀に落書きされたり。そんな様子は見るに堪えないものがあります。

そんな家が増えてくると、地域の雰囲気やイメージが悪くなり、治安にも影響が出てきます。家のケアをおろそかにしていると、ご近所にも迷惑がかかってしまうのです。

私が土地を探すときも、「植木の手入れがされているか」「車は掃除されているか」「家の周囲にゴミがたまっていないか」といったことを気にしていました。逆に言うと、そうしたポイントをきちんとしておけば、誰かが引っ越ししても次の住まい手が参入してきやすいこということであり、いい加減にしていると、どんどん人がいなくなってしまう、ということであります。

街並みの維持は、行政だけに任せておいていいものではなく、そこに住むひとりひとりが関心を持ち、関わっていくことなのでは、と思っています。そして、家を建てる段階から「維持しやすい外装」「街並みに寄与する外構計画」を考慮しておければいいなあと思っています。


住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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