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トロントひとかけら

瀟洒なブロア通り

世界一長いヤング通り

2012年03月28日更新

お引越し #3

なんとか引越しが終わった。
新しいアパートはトロントのダウンタウンの真ん中にあって、1ブロック隣はシネマコンプレックス、まわりにはデパートが2軒あり、飲食店やブティックがぎっしり並んだにぎやかこの上ない場所にある。
というのもここはギネスブックで「世界で最も長い通り」として認定されている全長1896㎞のヤングストリートが南北を走り、ブランドの旗艦店がずらりと立ち並ぶブロアストリートが東西を走る、トロントの2大通りが交わる交差点から目と鼻の先の場所なのだ。東京でいえば新宿通りと並木通りが交わるようなトロント随一の繁華街。街や人の活気を感じられる環境は、やっぱり楽しい。

そしてこのアパートは、トロント大学の大学院生と研究者およびその家族専用住宅なので、ひとつのコミュニティという雰囲気がある。たとえば建物内には子供のためのプレイルームがあって小さい子供と母親達はいつもそこに集まっているし、住人であれば英会話講座やヨガやダンス、子供向けのアートクラスや映画鑑賞会などに参加できる。数階ごとに数名の相談係が常駐し、彼らが季節ごとに親睦会を兼ねたパーティを企画してくれる。さらには育児相談会や税金相談会も開催されるのだ。その他諸々の催しが、すべて無料なのがすごい。
華やかさが売りのコンドに比べて、学生&職員向けアパートは生活力が肝になっているようだ。おかげで、街の中心にありながら人間同士の結びつきを感じられるのは心強い。それは面倒くささと紙一重なのかもしれないけれど、ニューカマーが新しい街に溶けこむのにはとてもよい環境だと思う。だから食事時になると推定築30年のレトロな建物の廊下に各国料理が混ざり合った香りが立ち込めるのも、まあいいじゃないかという気になる。

引越しが一段落着いたら次は引越しパーティーだ。
先日、一足先に引っ越した友人カップルが開いたパーティに行ってきた。彼らの新居は一軒屋のシェアハウス。引越した時は「テイクオーバー(TO)」という前の住人が置いていった物込みで引き継ぐ形だったので、ものすごい年代物のナイフやら数々の珍品やガラクタで溢れていたのに、数週間後のパーティの時にはすっかり片づけられ、居心地よい空間が作られていた。「皆がいつでも集まれる家にしたい」と言っていたとおりに出来あがったようだ。
彼らの家は地上2階&地下室の3階構造なのだが、自分達で床や壁をリフォームし、それまで物置として使われていた地下室も居住空間に格上げされていて驚いた。住まいの空間を思いどおりに演出したり、有効活用できるDIY能力は本当に素晴らしい。2階には気のおけない友人達が住んでいて、それぞれの愛猫達が上から下まで建物を自由に行き来していた。
さて、うちも引越しパーティを目標に快適な住まいを作っていこう。

ライター Kyuena キュエナ

Kyuena キュエナプロフィール
フランス→日本→カナダと移動生活中。
人種のモザイク都市・トロントでの楽しみは、
ベジタリアンインド料理とアールデコ建築探し。
仏語&医療翻訳と物書き業稼働してます。
現在、トロントの日系情報紙『bits』で連載中。

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