1. 家の時間トップ
  2. 暮らしのエッセイ
  3. 「三角の家の田中です」
  4. 自然に寄り添う暮らし

>バックナンバー

「三角の家の田中です」


収穫まつりのシンボル、野菜の宝船。最後にはバラしてふるまわれますが、毎年すごい争奪戦です


漆喰の壁に映る窓からの光。太陽の角度が変わるため、季節に合わせて位置が少しずつずれていきます

2009年11月18日更新

自然に寄り添う暮らし

こんにちは。
家の時間の田中です。

 わが家は埼玉県境に近い東京の片隅にありますが、この辺りは今も武蔵野の面影を色濃く残す、緑豊かな地域です。

 駐車場をトコトコと横切るタヌキの姿を時折見かけますし、大雪が降れば林の斜面でソリ遊びを楽しむ子どもの声が響きます。土地の下見ではじめて訪れた時は、東京23区内とは思えないのどかな光景に驚いたものです。

 今ではかなり宅地化が進みましたが、それでもこの地に先祖代々住んでいる大地主の家などは、昔ながらの農家の佇まいを残しており、住宅の合間に残った畑は立派に現役。秋には農作物の収穫を祝うお祭りが毎年盛大に行われ、わたしも新鮮な農産物を目当に足を運んでいます。

 ご近所からは採れ過ぎたザクロや柿のお裾分けをいただくこともしばしば。以前のマンション住まいにはなかった自然を間近く感じる暮らしは、思っていた以上に心やすらぐものでした。

 三角の家を建てる時、ぼんやりと「山荘みたいな暮らし方にしたいなぁ」と考えていました。自然のサイクルに逆らわず、夏の暑さや冬の寒さを含めた季節の移り変わりをそのまま受けとめる、できるだけシンプルでローテクな家にできたら、と。

 最近は住宅そのものの気密断熱性が自然に比べ格段に高まり、断熱・遮熱性能に優れた窓もたくさんあります。そうした基本条件がある程度整っていれば、寒冷地でない限り、それほど過剰に快適性を追いかける必要はないのでは、と思います。

 室内はワンルームのような感覚で設計すれば、都市部で暮らしていても、大らかでゆとりある時間の流れをつくることができます。冬場は暖かい場所に自然に家族が集まるようにする、というのも楽しい工夫かもしれません。

 夏の暑さに対しては、軒をつくり窓の位置を計算して家の中に自然な風が流れるようにしたり、北側に木を植えて夏場にクール・スポット(冷気のたまり)をつくったりする、昔ながらの日本の家の知恵を参考にしたいですね。

 自然の力を上手に利用するという発想は、環境意識が高まっている昨今、急速に見直され始めています。機械や設備で快適性をコントロールするという考え方だけでなく、設計上でできる工夫がたくさんあります。

 また、1世帯で完結させるのではなく、先のクール・スポットのようなものは近隣で協力してつくることもできます。こうした家がこれから少しずつ増えていけば、都市部の住環境も少し改善するのではないでしょうか。

ページトップへ