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食から五感美を

阿蘇の野焼き(春の訪れを待ちます)

干しタケノコと地きゅうり

干しシイタケと肥後レンコン

2015年04月29日更新

阿蘇の恵み④ 阿蘇地方の食

日の過ぎるのは早いものです。春から初夏への移り変わりもあっという間です。今年は4月になり雪も降りましたが、阿蘇地方も山焼きから始まる春の訪れ。4月下旬には芽吹いた緑が綺麗に陽射しに映え、美しさとともに若葉の力強さも感じます。今回は阿蘇地方の特産物、その中でも特に阿蘇界隈での代表的な季節のお勧め食材についてお話ししようと思います。

◆春のおすすめ食材:タケノコ、山葵の花や茎、山菜など

タケノコは、竹の種類(孟宗竹、淡竹、真竹など)によって節回しが違いますので、料理の違いで使い分けるのも楽しみです。炊き込みごはんや、焼きタケノコ、炊き合わせ、辛子酢味噌和え、てんぷらと工夫次第でどんな料理にも併せられます。最近ではパスタやグラタン、グリル野菜やサラダとして楽しんでいる方も多いです。収穫の時期も3月から7月ころまでと、割と長いのが特長です。

特に九州は、日本の生産量 1位:福岡、2位:鹿児島、3位:熊本 を合わせると全体の約70%程度(平成22年政府統計データより)と流通の中心にあたります。また、関東ではあまり見られない、タケノコを乾燥した「干したけのこ」を、保存食として一年中食べています。水煮では日持ちが良くないため、缶詰や真空パックもありますが、使い切りの量を調整できる点で乾物としての「干したけのこ」はいいですね。炊き合わせなどにしますと、他の野菜の柔らかさと相反したシャキッとした感じが楽しめます。

タケノコにはグルタミン酸やチロシン、スパラギン酸などのアミノ酸などの栄養素が含まれます。さらにカリウムを豊富に含んでいるので、ナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧に効果があります。ただ注意点として、アクが強いために、吹き出物やアレルギーに似た症状を起こすこともあります。アク抜きは米ぬかと鷹の爪でじっくりと茹で、自然に冷ますのがコツです。タケノコはまだまだ楽しめる食材ですので、いろいろな調理方法をお試しください。

◆夏のおすすめ食材:地キュウリ

キュウリが瓜科だとご存知の方も多いと思いますが、最近のキュウリは大きさや形も重視され、支柱はネットで空中に浮いています。一方「地キュウリ」は名前の通り、瓜科の野菜と同様に地面で収穫します。

サイズは、一般的なキュウリより4・5倍程度と大きく、その大きさとともに水分も多く重いのが特徴です。夏の暑さを助ける食材として、阿蘇地方ではよく食べられます。通常のキュウリに比べて、より瓜に近い食感です。最近話題の「ななつ星」のツアーでは、阿蘇駅隣地での食事の際に、熊本食材の一つとして食べることができます。また、「地方特産食材図鑑」でも、熊本県の特産食材として掲載されています。

◆秋のおすすめ食材:キノコ類(特にシイタケ)

日本は山林の多い国ですから、キノコは様々な地域で栽培されています。シイタケは冬菇(どんこ)・香菇(こうこ)・香信(こうしん)と分類されるのが一般的に知られていますが、その中でも、阿蘇地方のシイタケは肉厚の「どんこ」のシイタケです。

乾燥させて干しシイタケにすることでうまみを凝縮させ、日持ちを良くしています。中華料理の基本として沢山使われていますが、日本料理でも、煮しめや炊き合わせには欠かせない食材の一つとなっています。干しシイタケは半日ほど水に浸せば十分に戻りますし、最近はスライスした状態で商品化され、戻す時間を短縮できるものも販売されています。もちろん戻し汁はうまみが溶けていますから、出汁として利用しましょう。

特に、大分県では「大分乾しいたけトレーサビリティ協議会」を設立して、栽培・生産者などの情報開示をしているため、安心・安全性をかんたんに知ることができます。栄養素としてはビタミンB1、ビタミンC、プロビタミンD2などが含まれます。

◆冬のおすすめ食材:蓮根

茨城、徳島、山口県なども生産量の多い蓮根ですが、熊本名産の「からし蓮根」をご存知の方も多いでしょうか。熊本でも蓮根の生産量は多く、質の高い蓮根が生産されています。蓮根は産地によって特徴がありますので、その地域おすすめの調理方法で食べるのが美味しい食べ方だと思います。蓮根は蓮の地下茎で、穴が開いているので「先が見える」「見通しが良い」という考え方から、縁起のよいとされ、お正月料理としても欠かせない食材です。

さて、熊本地方で、からし蓮根は江戸時代にお殿様へ献上する料理として登場し、一般的になったのは、明治以降です。一般的なからし蓮根とは、からし味噌を穴につめ、卵などの衣をまぶして揚げたものです。レンコンの甘さとからし味噌があいまって、バランスのよい味を引き出しています。栄養素としては、ナトリウム、カリウム、鉄分、ビタミンAなどを含んでいます。

以上、季節ごとのおすすめ食材をご紹介しました。最後に、その地域の特産物は、一般的な料理レシピを活用して料理を工夫することもオススメですが、その食材や産地の郷土料理を試してみることもおすすめです。旬の食材を活かしたその産地ならではの料理だからこそ、素材の良さが最大限に引き出せることでしょう!

豊菜JIKAN」では、そんな阿蘇の恵みをより多くの方々に感じていただけるよう阿蘇で採れた作物を中心に、野菜ソムリエがセレクトしたお野菜を多数取り扱っています。食は、体の内側から健康に直結する大切な要素です。ぜひ一度、阿蘇地域の恵みをご体感いただければと思います。



株式会社ジカン 代表 小森谷 正

小森谷 正プロフィール
食品取扱いを営む実家に生まれ、小さい頃から食に興味を持って育つ。大学時代はファッション研究サークルで主将を務め、卒業後は大手不動産グループで住宅企画に携わった。これまでの経験から衣食住の相談サービスを手掛けるライフスタイルコンサルティング会社株式会社 ジカン(又はJIKAN)を立ち上げた。まずは「食」に関する通販サイト「豊菜JIKAN」をスタート。

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