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安曇野ノオト

こごみ、独活、こしあぶら、カタクリ、独活皮夫々の素材を生かして春の香りをいただきます。

山鳥が花咲か爺さんとなったと言われる山桜群

陶房白露さんの屋根に招かれお花見。
彼らがここに辿りついた理由、生み出される作品が宿す自然の精気がすんなり入ってくる特等席。

ここから何かが始まる予感「安曇野スタイル市」

カリフォルニアでの展示

2010年06月02日更新

安曇野の春は息が切れます

 爽やかな初夏の風が吹き抜ける安曇野からこんにちは。
 今安曇野は若葉の季節を迎えて、萌えいずる新しい生命の息吹に背筋は延び、思わず上向きになります。
 しかし足元にも要注意、そこには元気の国への入り口が!

 蕗のとうに始まり、こごみ、タラの芽、こしあぶら、うど、あまどころ、蓬、しずくな、うとぶき、笹竹の子・・・なんとカタクリの花まで豊富な山菜が毎日次々と顔を出し、食卓を彩ってくれます。天ぷら、おひたし、酢の物、和え物、煮物・・・和食にとどまらずフレンチ、イタリアン、中華にも使えます。

 長い冬の間運動不足で体に溜まった澱のようなものを春の山菜の苦味が流してくれるそうです。
 運動を兼ねて山菜取りハイキングに行くのも楽しみですが、山といえども地主さんがあることですので勝手な採取は違法です。そして、冬眠明けのおなかをすかした熊一家に遭遇することもあるので要注意!
 安曇野に点在する産直のお店で料理法を教えてもらいながら購入するのが安心安全でしょう。
 それぞれに適した処理法があり、その土地特有のおいしいいただき方やちょっとしたアイデアを頂けるのもそういうお店ならではの特典。是非いろいろと尋ねてみてください。

 おなかも大満足の安曇野の春ですが心のビタミン、アート&クラフトも花咲く頃となりました。
 春になるとこんなところにも桜の木が!と気づかされる山桜の彩りにも似て、広い安曇野の里にも 静かに着実に根を張り、枝を茂らせ花咲かせているたくさんの作家さん達がいます。
 冬の間まどろんでいた窯に火が入り、木工所に鑿の音が響き、織り機の音も軽やかになり、時間をかけて醸していた内なるものに向き合い、形として外に出す作業も春はなぜか心浮き立つものです。

 そんな作家さん達の登竜門とも言えるクラフトフェア松本が開催されるのもこの時期。
 厳しい審査に通った日本中の優れたクラフトマンの作品に触れ、直接購入できるこのフェアは今年で26回目。地元作家の作品展示、販売で始まったこのイベントも、日本一のレベルと評されるようにな延べ10万人以上の来場者を迎える人気となりました。
 また、前後してあちこちの美術館やギャラリー、ショップ等で開催される「工芸の五月」のイベントにもたくさんのクラフトファンが集います。
 ただ見るだけ、購入するだけではなく、参加できる楽しみもあります。
 大人だけでなく子ども対象のワークショップもあり、我が家からも2歳未満児が参加、大いに楽しんだようです。子どもの時からアートに触れ、作り出す楽しみを導き出してくださるモーネさんたちに出会えたことは子ども達にとって大きなギフトだったことでしょう。
 安曇野の森の中でも面白企画がいろいろ。
 いつものお気に入りのお店も独特のスタイルは崩さないまま、違った作家さん達とのコラボで華やぎをプラスしていました。気楽さの中で久しぶりの関西弁で語り合い、気持ちも心もほぐれてゆっくり選び、長く付き合えるであろう作品との出会いもありにっこりです。
 センス溢れる工芸の五月の冊子をガイドに自分のお気に入りを探して彷徨うのも楽しいものです。

 そんな中で今年から始まった安曇野スタイル市はのどかなイベント。回遊型の秋の安曇野スタイルとは違って、一箇所に集まってピクニック気分でクラフトに触れ、体験し、おいしいものもいただきましょうと言うスタイルです。
 ギャラリーでは高嶺の花だった作品もお手頃価格で作家さんの薀蓄をスパイスに手に入れる幸運に恵まれる事も!

 この時期気候の良い長野県内で催されるいろんなタイプのクラフトフェアや各地のギャラリーや美術館の企画展を巡り、毎日どこかで見ごろを迎える自然美を追いかけ、旬の食べ物を楽しむのに眼が回り、息切れがしそうです。
 たくさんのお客様を安曇野とその周辺にお迎えする時期ですが、安曇野から東京、関西、日本各地そして世界に作品が動いてもいます。ただいまEisen作品がカリフォルニアに出張中。6月末には東京に参ります。

 小さいながらも気持ちの良い場所に暮らし、こうして国内外のいろんな場所、いろんな方達と繋がっている幸せを感じています。
 何処かでお会いできれば楽しいでしょうね。

クラフター 宮嶋洋子

宮嶋洋子プロフィール
関西出身、産業福祉を専攻後、保険会社勤務。結婚を機に信州白馬山麓に移住。夫とロッヂを経営。夫が鉄工房Eisenを立ち上げると共に安曇野に移転。自らは羊に関わる紡ぎ、織り、編みのクラフトを楽しむ。
鉄工房Eisen:http://www5.plala.or.jp/Eisen/

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