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BOOK REVIEW一覧

  1. 2010年08月01日更新

    パリでメシを食う。

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    幻冬舎文庫
    川内有緒 著
    720円

    タイトルだけ眺めていると、グルメの本かと思う。が、開けばすぐに「生計を立てる」意味とわかる。フランス=グルメという見方を典型的なステレオタイプとするなら、この本で紹介される暮らしぶりはそれこそ型にはまらない、波乱万丈そのものだ。10人のパリで活躍、いや格闘する日本人のドキュメンタリーが、それぞれ1枚の写真と文章で表現されている。パリで働くと聞けば、華やかなイメージを抱くが現実はそう甘くない。夢、才能、希望といったものだけを頼りに、身ひとつで生き抜くことは難しい。著者は当サイト「パリで暮らす、食べる、遊ぶ」のひとり、川内有緒さん。異国の気質、文化、法律が登場人物らの悩みの根源になりつつも、逆にそれらが励みにもなる展開も新鮮である。

  2. 2010年05月10日更新

    別冊 住まいの設計relife+ (リライフプラス)vol.3

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    Fusosha
    1,200円(税込)

    中古のリノベーションマンションに住む。このパターンが増えた。また、それも最近では随分と個性的になった。どこぞの外国の映画のセットかと見間違わんばかりの斬新な装飾さえ...。住まい選びは重心が移りつつあるのか。その兆候に、といっては何だが、この「relife」で登場する事例では物件を探す前に、リノベーション会社を決めている。相性が譲れない条件、ということだろうが、主流になりそうな予感を覚えた。ところで、マンションは集合住宅であることをお忘れにならないように。上下左右が他人の家と接する。区分所有法という法律もある。仲介会社だろうが、リノベ会社だろうが、できることとできないことをしっかり教えてもらってから実行に移りたい。

  3. 2009年12月02日更新

    都会でできる雨、太陽、緑を活かす小さな家

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    農文協
    中臣昌広 著
    1,700円(税別)

    環境衛生監視員を務める著者が自宅を建てたのは、山手線ターミナル駅から徒歩20分、わずか17坪の狭小地。小さな屋根には太陽光発電を載せ、雨水はタンクにためて利用し、壁にはゴーヤや琉球アサガオの"緑のカーテン"を這わせた「都会のエコハウス」での暮らしぶりを綴ったのが本書だ。アレルギー過敏症故に自然素材にもこだわり、日本家屋の古材を譲り受け採用した住まいは、私たちが肌感覚で感じる「心地よさ」をまるごと実践しているかのよう。省エネについて家族で話し合い、雨水タンクをくみ上げるポンプでご近所と会話がはずむ様子は、エコが人と人のつながりを媒介する存在にもなり得ることを教えてくれる。特別な知識や潤沢な資金がなくても、好奇心と少々のマメさがあれば、エコな家は誰でも建てられるのだ。

  4. 2009年10月28日更新

    最高の若手建築家20人

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    エクスナレッジムック
    1,200円(税別)

    日本のように、いわゆるフツーのサラリーマンが建築家に設計依頼をできる国というのは、実はとても珍しい。全体予算の中で設備や家具類も含めたコストコントロールをしてもらえ、工務店の仕事にも目を光らせてくれる建築家は、ぜひ選択肢のひとつとして考えてみたいものだ。本書は住まい手と建築家のマッチングサービスを行うザ・ハウスの協力により、同社で実績のある若手建築家20人を紹介した本。「光と風を感じられる」「家族共有の空間となるライブラリー」などの要望が、具体的にどのような空間に帰結したのかが建て主の視点でまとめられ、"フツーの人が建築家と家を建てる"過程が手に取るようにわかる。ただしタイトルにある「最高」の受け止め方は一人一人違うので、その辺りは割り引いて判断したい。

  5. 2009年10月07日更新

    未来の住宅 カーボンニュートラルハウスの教科書

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    バジリコ
    1,600円(税別)

    先日、鳩山首相が国連で表明した「温室効果ガス排出 1990年比で25%削減」。この相当高いハードルをクリアする上で、住宅建築は大きな課題と(裏を返せば)可能性を持ち合わせている。本書はCO2を増やさない家=「カーボンニュートラルハウス」を設計するプロジェクトを立ち上げた東北芸術工科大学のメンバーが、勉強会で得た成果をQ&A形式でまとめたもの。ポイントは「省エネの徹底化」と「再生可能エネルギーを使う」のたった2点だが、さすが芸術大学だけあって、デザインや生活のクオリティにもきっちりと言及。ピンポイントでエコ設備だけに注目されがちな昨今だが、本当に大切なのは本質的なエコの捉え方と全体設計なのだ。生活者視点の軽快な話し口調で繰り広げられる、数々の回答や提案は読んでいて小気味良く、建て主をヤル気にさせてくれそう。

  6. 2009年09月23日更新

    和モダンvol.2 新時代の家づくり

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    新建新聞社
    2,200円(税込)

    日本建築は実に「機能的」にできているなぁとつくづく感心する。深い軒は夏には日ざしを遮り、冬は陽光を受け入れるよう計算されており、引き戸を開け放てば広さの調整も自由自在だ。本書は、昨今見直されている現代和風建築の事例を多数紹介。前述のようなセオリーやディテールに倣ったものから全く新しい解釈による設計まで、多種多様な「和モダン」スタイルを見ることができる。建築だけでなく、知っているようで案外知らない、和モダンテイストに合う照明やキッチン、浴室などの紹介もある。環境問題が大きな関心事になっている今、日本の気候風土に合う和風建築の良さを再確認してみてはいかがだろうか。

  7. 2009年09月09日更新

    インテリアと建築の一流ブランドがわかる本

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    建築資料研究社
    2,400円(税込)

    歴史、デザイナーの思い、新しい価値の創造。一流と呼ばれる製品には、必ずといっていいほど物語がある。建築・インテリア誌「コンフォルト」9月増刊号となる本書は、家具や照明、キッチン、建築材料、水廻り設備など、海外一流ブランドの46の歴史とストーリーがまとめられており、一冊であらゆる方向からブランドの価値を学ぶことができる。アートディレクターの佐藤可士和氏のインタビューや建築家であり紀行作家でもある稲葉なおと氏の書き下ろし小説、ザ・コンラン・ショップによるワールドスタンダード・セレクトなど、読み物としても充実している。ブランドの魅力を知り、これから購入を検討する人におすすめ。

  8. 2009年08月26日更新

    伊礼智の住宅設計作法 小さな家で豊かに暮らす

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    新建新聞社
    伊礼智 著
    2,000円(税別)

    建築家に設計をお願いしたい。でもなんとなく敷居が高い...そう思っている人は多いのではないだろうか。本書は住宅を中心に活躍する建築家・伊礼智氏が、工務店向け専門紙に書き下ろした連載をまとめたもの。とはいっても難解な言葉は全くなく、訥々とした語り口で私たちにもわかりやすく「豊かな家の作り方」を教えてくれる。心地いい住まいとは何か、そのためにどうすればいいのか...といった疑問に対し、ひとつひとつ具体例を挙げてカラー写真やイラストで説明しており、建築家がどのような姿勢で住宅設計臨んでいるのか理解することができる。建築家に依頼したい人は入門書として、そうでない人は住まいづくりのヒントとして読むことができる良書。

  9. 2009年06月24日更新

    映画的建築/建築的映画

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    春秋社
    五十嵐太郎 著
    2,200円(税別)

    映画好きの建築家は多いが、これは片思いであり、逆はそうでもないらしい。なぜなのか?本書ではさまざまな名画を題材に、映像メディアにおける建築の本質を紐解く。「映画に登場する"懐かしい空間"は、実際は緻密に計算された、どこにも存在しない建築」「実在する建築も、映画のテーマを増幅させるシンボリックな装置として記号化」「建築家は竣工直後の写真を好むが、映像クリエイターは徹底したエイジング(古く見せるための処理)を施す」など、リアルと虚構の狭間である映像表現にとって建築は重要なトリガーであることを、豊富な事例を引き合いに出し解説している。小津安二郎、三谷幸喜、宮崎駿の一連の作品から、「さくらん」「ツインピークス」「東京タワー」「三丁目の夕日」「新世紀エヴァンゲリオン」まで多種多様な映画の制作現場を裏側から知ることができる。

  10. 2009年06月10日更新

    美しいこと

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    新潮社
    赤木明登
    1,900円(税別)

    本書は塗師であり、いま人気のうつわ・塗り物作家である著者が、さまざまなジャンルで独自の美学を育むクリエイターたちを訪ね、創作哲学をともに考えたエッセイ集。登場作家は木工職人、靴職人、陶芸家、家具デザイナー、料理家、ガラス作家、建築家、古道具屋など多岐に渡るが、通底するのは「ただ、美しいこと」。何かと何かが出会い、振動が生まれ、さざ波となり、物語が紡ぎだされる現場に生まれる「美しいもの」は、やがて時間をかけて静かに朽ち、消えてゆく。そこにひとつの精神性を見出し「美しい」と捉える感性は、侘び寂びを知る私たち日本人共通のものだろう。数々の美しいものがたりは、思いのほか身近にあるのかもしれない。

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